あんもち雑煮

香川県の郷土料理

「あんもち雑煮」はいりこと白味噌仕立ての汁に大根、人参などを入れ、餡入りの丸餅を入れた雑煮で香川県の郷土料理です。香川県では正月三箇日に食べる定番料理として人気があります。白味噌仕立ての汁に餡入りの餅が入っているという組合せは全国的にも珍しく、変わり種の雑煮としてしばしばメディアにも取り上げられています。餡子と白味噌の組合せは抵抗があるかもしれませんが、地元ではこれが普通の雑煮として全く違和感なく食べられています。地元以外の方にとっては餡子と白味噌は合わないと思いがちですが、いざ食べてみると意外と相性が良くて美味しいと感じる方も少なくありません。餅の中に入っている餡は砂糖入りの甘いものが多いですが、塩入りの塩餡餅の雑煮もあります。「あんもち雑煮」には餅の他に大根と人参を入れるのが定番ですが、地域によって里芋、ごぼう、豆腐、油揚げ、花カツオや青ネギを入れる事もあります。定番となる大根は小ぶりの雑煮大根、人参は香川特産の金時人参を使う事が多く、大根の白と人参の赤で紅白となって正月に相応しい彩りとなります。雑煮大根がなければ普通の大きさの青首大根をいちょう切りにしても良いのですが、大根も人参もなるべく「輪切り」にする事で、「今年一年丸く収まりますように」とか「家庭が円満に」といった願いを込めているのです。

 

「あんもち雑煮」の由来

「あんもち雑煮」は江戸時代末期から明治時代にかけて讃岐地方で生まれた郷土料理です。「あんもち雑煮」の特徴である「餡入りの餅」は讃岐高松藩時代の「讃岐三白」に理由があります。「讃岐三白」とは讃岐高松藩が産業振興を進めて特産品としたもので、塩、砂糖、木綿を指します。特に砂糖は藩がサトウキビ栽培を奨励し、「和三盆」と呼ばれる白砂糖の製造に成功しました。当時、日本ではサトウキビは現在の鹿児島県の薩南諸島や沖縄県の琉球諸島でしか生産されておらず、黒砂糖が主でした。高松藩がサトウキビを栽培しただけでなく砂糖の製造に成功、しかも白砂糖を製造した事で高松藩の砂糖は一躍藩を代表する特産品となりました。以後盛んに砂糖の製造が行われる様になりましたが、実際にサトウキビを栽培して砂糖を作っているのは藩内の農民です。農民達は藩の大事な特産品である砂糖を厳格な管理の下に納入し、自分達が気軽に消費できるものではありませんでした。自分達で作っているとはいえども藩に納める大事な砂糖ですから、おいそれと食べるわけにはいきません。とはいえ年に一度の正月位は贅沢したい、甘いものが食べたいという事で生まれたのが「あんもち雑煮」というわけです。砂糖を餡に入れて餅でくるんで、更に雑煮にするといった具合に見た目では全くわからないような使い方をしました。藩の役人の目を避けて一目では砂糖を使っているとは分からない様に工夫したと思われます。白味噌仕立ての雑煮の中に砂糖が入った餡が入っているとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。それでも餅の中に餡が入っている事がバレてしまう事に備えて塩入りの餡が入った餅の「塩入りあんもち雑煮」も作っていました。

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