加賀伝統料理「治部煮」
「治部煮」は鴨肉や鶏肉の切身に小麦粉をまぶして、季節の野菜と一緒に出し汁で煮込んだ加賀地方の伝統料理です。
鴨肉や鶏肉をうす切りにして小麦粉をまぶす事で、肉の旨味を封じ込めて汁にとろみをつけるだけでなく、冷めにくくします。
本来は天然の鴨肉を使いますが、現在では鴨肉は稀少で高価なので、合鴨や鶏肉を使う事もあります。
季節の野菜はセリ、たけのこ、れんこん、しいたけ、百合根などの加賀地方で獲れる野菜を使います。
また、江戸時代から伝わる加賀特産のすだれ麩も一緒に煮込みます。最後に薬味としてわさびを添える事で全体の味を引き立てています。
「治部煮」の発祥と由来
加賀の伝統料理である「治部煮」がなぜそう呼ばれたのかは諸説ありますが、どれが正しいのかははっきりわかりません。
まず、江戸時代に生まれたとされる「治部煮」は加賀藩兵糧奉行であった岡部冶部右衛門が朝鮮から伝えられたものを最初に作った為に、名前をとって「治部煮」と名付けられたとする説があります。
また、煮ている最中に「じぶじぶ」と音がするから「じぶ煮」といわれるようになったとする説もあります。
また、加賀藩の殿様が鴨狩りに行った際に狩りの場で作らせた鴨料理だったとする説もあります。
他にはキリシタン大名の高山右近とキリスト教の宣教師によって伝えられたポルトガル料理から生まれたとする説もあります。
加賀料理の「治部煮」
加賀料理といえば加賀百万石の文化が生んだ歴史ある料理で高級料亭で出されるものとのイメージがありますが、実際は昔から庶民の味、おふくろの味として家庭料理として食されてきました。
高級料亭では加賀料理といえば必ずといって良いほど「治部煮」が出されますが、元々は庶民の味の料理が料亭の調理人によって作られ、九谷焼や金沢漆器などの高級な器に盛り付けられたというわけです。
一流の食材と調理人によって作られるわけですからもちろん味は段違いでしょうが、料理自体は何らかわらないのです。
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