埼玉県の郷土料理
「冷汁うどん」は「冷汁」をざるうどんのつけ汁にした夏の定番料理で、埼玉県では昔から食べられている郷土料理です。
「冷汁」は胡麻、味噌、砂糖、塩をすり鉢ですり潰して水又は出汁で伸ばし、きゅうりの輪切り、青しそ、みょうがなどを入れた汁物です。
つけ汁である「冷汁」は氷を入れたりして冷やして食べる上に、きゅうりやみょうがなどの夏野菜を使うので、「冷汁うどん」は夏の暑い時に食べる季節限定の料理です。
冷や汁うどんの発祥・由来
かつては農家の人々が農作業の合間や昼食の際に簡単に栄養が摂れて、食欲がない時でも食べ易い料理として、「冷汁」にうどんをつけて食べる「冷汁うどん」を作ったのがはじまりとされています。
胡麻、味噌などの栄養豊富な素材とさっぱりとしたきゅうり、しそ、みょうがなどの夏野菜、そして食欲がない時でものど越しが良くて食べ易いうどんを組み合せる事で、暑い夏を乗り切る郷土料理として「冷汁うどん」が定着していったと思われます。
胡麻や味噌を擦り立てで食べる事から「すったて」又は「つったて」とも呼びます。
うどん名産地の埼玉県
埼玉県は小麦粉の生産が盛んで、平成21年の調査では「讃岐うどん」で有名な香川県に次いで全国2位の生産量を誇ります。
うどん、そばの店の数も全国2位で、埼玉県はうどん県ともいえるのです。
加須市には「加須うどん」、川越市の「武蔵野うどん」があり、そして秩父市、大宮市、加須市、川越市などでは「冷汁うどん」が有名です。
「冷汁うどん」を提供の仕方
埼玉県では「冷汁うどん」が食べられるお店は数多くありますが、その提供方法はまさにセルフサービスといった感じです。
うどんの麺はもちろん茹でてくれるのですが、つけ汁にする「冷汁」は自分で作らなければならない場合があります。
「冷汁うどん」を注文するとお客さんの席にはすり鉢、すりこぎといった道具にごま、みそ、きゅうり、ねぎ、みょうがなどの「冷汁」の材料が運ばれてきます。
厨房では注文後に麺を茹で始めますが、客席ではお客さんが自分でそれらの材料を順番にすり鉢に入れて「冷汁」を作るというわけです。
ごまは擦り立てが香りがよくて美味しいですから、このように食べる直前にする事を前提にした料理なのです。
お客さんに手間を取らせて料理を作るなんてと思われるかもしれませんが、「冷汁うどん」の別名が「すったて」ともなっていて、とにかく「すりたて」が重要なのです。
また、自分でする事でごま、野菜、薬味の潰し加減も調整できるので、自分好みの「冷汁」が作れるというわけです。
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