北陸の郷土食「越前おろしそば」
「越前おろしそば」は江戸時代から続く伝統ある北陸の郷土食で、茹でた蕎麦に大根おろしを加えた出汁につけて食べます。
大根おろしをのせて大根を絞った汁と出汁をかけて食べたり、大根おろしに出汁を加えてつけつゆにして食べる場合があります。
どの方法で食べるのかは提供するお店や家庭により異なります。
どちらにしても濃い色の太いコシのある麺と大根おろしは欠かせません。
また、たっぷりのかつおぶし、刻みねぎ、刻みのりなどを加えます。
「越前おろしそば」の発祥と由来
「越前おろしそば」は1947年(昭和22年)に昭和天皇が福井県を訪れた際に蕎麦を召し上がり、大変気に入って「あの越前のそばは美味しかった」と仰せになられた事から「越前そば(越前おろしそば)」と命名されました。
大根おろしを添えて食べる蕎麦自体は江戸時代からありましたが、「越前そば」という名が付けられたのは天皇陛下の行幸がきっかけです。
おろし蕎麦を2杯も召し上がられ、行幸を終えて皇居に戻ってからも「あの越前のそばは」と何度も口にされた事から、周囲の者から評判が伝わり、福井では「越前そば」と呼ばれる様になったそうです。
「越前そば」の歴史
越前地方の蕎麦の歴史は1473年の一乗谷築城の際に籠城戦の非常用食糧として、領主の朝倉孝景が蕎麦の栽培を奨励した事に始まります。
米より短期間の約75日で種蒔きから収穫できる為、非常用の食糧として積極的に栽培される様になりました。
しかし、まだこの頃はそばがきやそば団子が多く、そば粉を麺にして食べる「そば切り」はまだ誕生していませんでした。
「そば切り」と呼ばれる麺状の蕎麦が食べられる様になったのは1601年に本田富正が府中城主として赴任してからです。
本田富正は京都から府中に赴任する際にそば職人の金子権左衛門を連れて来て、彼が「そば切り」と大根おろしを添える「おろしそば」を広めたといわれています。
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