徳島県の郷土料理
「そば米雑炊」は蕎麦の実を蒸したり茹でてから乾燥させて皮を取り除いた「そば米」を鶏肉、野菜、山菜などを入れて作った雑炊で、徳島県の郷土料理です。
蕎麦を臼で挽いて粉にして食べる料理は全国各地にありますが、「そば米」として蕎麦の実をそのまま食べるのは珍しく徳島県独特の食べ方です。
蕎麦は麺にして食べる事が多く、そばがきや団子にする事もありますが、一般的には実を挽いて粉にします。
「そば米」は米の様に粘り気はありませんが、プチプチとした食感でさっぱりしており、雑炊にするとサラサラと食べる事ができます。
雑炊には鶏肉、人参、椎茸、大根、豆腐、油揚げ、こんにゃく、ネギ、ちくわ、ミツバなど好みに合わせて入れます。
「そば米雑炊」は今では徳島県内の学校給食にも出されたり、家庭科の調理実習で作られるなど県内全域で食されている郷土料理です。
「そば米雑炊」の発祥と歴史
「そば米雑炊」は平安時代末期の徳島県東祖谷山村が発祥の地とされています。
山間部の東祖谷山村では急斜面が多く水の確保も難しい事から米が作れず、粟やひえをもっぱら主食としていました。
平安時代末期の源平の合戦で敗れた平家の落人(おちうど)達は各地に逃れましたが、東祖谷山村にも源氏の追討を逃れて隠れ住む様になりました。
山間部で米も作れない東祖谷山村では産物も乏しく、かつての京での栄耀栄華の暮らしができるはずもありません。
そんな京での日々を偲んで作ったといわれる料理の一つが「そば米雑炊」でした。
山間部の東祖谷村でも作れる蕎麦を栽培し、蕎麦の実を塩茹でして殻を剥いて乾燥させて「そば米」を作りました。
「そば米」を茹でて野菜、山菜、鶏肉などとダシ汁で煮込んで雑炊を作って正月料理としたのが「そば雑炊」のはじまりといわれています。
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