- 第1節|ちりとり鍋とは(定義・特徴・別名)
- 第2節|由来・発祥・歴史年表
- 第3節|ちりとり鍋・もつ鍋・てっちゃん鍋の違い(比較表)
- 第4節|基本の材料と具(家庭で揃えやすい代替も)
- 第5節|タレ(自家製の基本式と味変・市販の素)
- 5-2 味のバリエーション(味変レシピ)
- 5-3 市販タレ・素の活用(手軽&失敗しにくい)
- 5-4 味が決まるコツ(プロっぽい微調整)
第1節|ちりとり鍋とは(定義・特徴・別名)
ちりとり鍋は、四角く浅い“ちりとり(塵取り)”の形に似た鉄板鍋を使う大阪発祥の鍋料理です。山盛りのホルモン(とくにテッチャン=牛大腸)とキャベツ・もやし・ニラ・玉ねぎなどの野菜を重ね、タレと野菜の水分で焼きながら煮る=「煮焼き」スタイルで味わいます。鍋が浅いため汁気は少なめで、加熱が進むほど野菜がしんなりして旨味を吸い、全体が濃厚にまとまっていくのが特徴です。味付けは醤油・味噌・みりん・にんにく・コチュジャンを軸にした甘辛系が定番で、塩ダレやカレー風味などのバリエーションも広がっています。家庭ではホットプレートや大きめのフライパンでも再現可能です。
名称の由来
大阪市生野区の店が原点とされ、初代店主が鉄工所で自作した四角く浅い鍋を用いたところ、見た目がちりとりに似ていることからこの名が定着したといわれます。下町の焼肉文化・コリアンタウンの食文化と結びつき、関西から全国へ広まりました。
別名
主役具材がテッチャンだった経緯から「てっちゃん鍋」、また「ホルモン鍋」とも呼ばれます。韓国料理の影響を受けつつ、日本で独自に発展した“韓国風すき焼き”的な位置づけで紹介されることもあります。
まとめ:四角く浅い鍋+煮焼き+甘辛ダレ+山盛り野菜とホルモン――この4点が、ちりとり鍋のコア要素です。次節では大阪で生まれた背景や発祥の物語を深掘りします。
第2節|由来・発祥・歴史年表
名称の由来(「ちりとり」に似た鍋から)
ちりとり鍋の名は、四角く浅い鉄板鍋の見た目が掃除道具のちりとり(塵取り)に似ていたことに由来します。浅い鍋で具を“煮ながら焼く”独特の調理が成立し、山盛りの野菜とホルモンに濃いタレを絡めるスタイルが確立しました。
発祥地と誕生秘話(大阪市生野区・万才橋説)
大阪市生野区の町工場(鉄工所)で働く人々のまかないから生まれたのが始まりとされます。鉄工所の店主が四隅を曲げた自作の四角い鉄板鍋を作り、ホルモンにたっぷりの野菜を重ねて蒸し焼き的に煮る方法が評判に。後に生野区の店「万才橋」がこのスタイルを看板に掲げ、地域の名物として知られるようになりました。もとは「放るもん(捨てるもの)」と呼ばれたホルモンを“旨いごちそう”へ格上げした点が画期的でした。
コリアンタウンの文脈と「韓国風すき焼き」系譜
生野区はコリアンタウンの文化が根付く地域。キムチやコチュジャンなど韓国料理の要素が自然に取り入れられ、甘辛ダレ×ホルモン×野菜という骨格の上に、日本の家庭や居酒屋に馴染む味へと発展しました。説明の便宜上「韓国風すき焼き」と表現されることもありますが、日本で独自進化した“下町生まれの鍋”という性格が核心です。
普及の軌跡(大阪→関西→全国)
まかない発の一皿は、近隣の飲食店や常連客の口コミで大阪市内へ横展開。心斎橋の「まつりや」など兄弟店の存在が広がりに拍車をかけ、テレビ・雑誌・グルメ記事、著名人の紹介などを通じて「大阪名物」として認知が拡大。現在は専門店の名物メニューのみならず、焼肉店・居酒屋・家庭のホットプレートでも再現され、タレの多様化(塩・カレー風味等)や具材のバリエーション(牛・鶏・魚介)も進んでいます。
年表(おおまかな流れ)
- 1960年代ごろ:大阪・生野区の鉄工所で自作の四角い鉄板鍋誕生。ホルモン+野菜を煮焼きするまかないが評判に。
- 1970〜80年代:生野区の店「万才橋」が名物化。下町の焼肉文化と結びつき、常連客や飲食関係者を媒介に市内へ浸透。
- 1980年代後半〜1990年代:心斎橋「まつりや」など兄弟店が普及を後押し。“大阪の新顔鍋”として存在感が高まる。
- 2000年代:メディア露出やグルメ情報サイトで知名度が全国区に。辛味噌・塩・カレーなどタレ多様化が加速。
- 2010年代〜現在:専門店の名物として定着しつつ、家庭のホットプレート調理も一般化。韓国ルーツ×日本的発展というハイブリッドな食文化として語られる。
要点まとめ
- 形が“ちりとり”そっくりの浅い鉄板鍋が名前の出発点。
- 生野区のまかない→万才橋で名物化→兄弟店やメディアで大阪全域へ→全国へという拡張。
- 韓国料理の要素を取り込みながら日本で独自進化した“下町発の鍋”。
- 今日ではタレ・具材・調理器具の自由度が高い“応用のきくご当地鍋”として愛されています。
第3節|ちりとり鍋・もつ鍋・てっちゃん鍋の違い(比較表)
項目 | ちりとり鍋 | もつ鍋 | てっちゃん鍋 |
---|---|---|---|
鍋の形状 | 四角く浅い鉄板鍋(ちりとり形状) | 丸い土鍋・深鍋 | 四角く浅い鉄板鍋(ちりとり形状) |
調理法 | 煮焼き:ホルモン+山盛り野菜を重ね、タレと野菜の水分で焼きながら煮る | スープ煮:牛・豚のもつを醤油・味噌・塩のスープで煮込む | 煮焼き(ちりとり鍋とほぼ同様) |
味付け | 甘辛い辛味噌・醤油ダレなど濃厚系が主流 | あっさり~コク旨のスープ(醤油・味噌・塩) | 辛味噌ベースなど濃厚系が中心 |
〆(シメ) | タレを吸わせた焼きうどん風/おじや | スープでちゃんぽん麺や雑炊 | うどん・ご飯など(ちりとり鍋に準ずる) |
補足:てっちゃん鍋は「ちりとり鍋」の別名または極めて近いスタイルで、主役具材にテッチャン(牛大腸)を据えた呼び方。いずれも大阪のホルモン焼き文化に根ざした鍋料理です。一方、もつ鍋は九州(福岡)発祥のスープ鍋で、性格が異なります。
違いのポイント解説
- 形状と狙い
ちりとり/てっちゃんは浅い鉄板鍋で水分を飛ばしつつ味を絡めるのが狙い。もつ鍋は深鍋で出汁(スープ)を味わうのが主眼。 - 味のまとまり方
ちりとり/てっちゃんはタレが具に濃く絡むため、食べ進むほどコクが増す。もつ鍋はスープに旨味が溶け出すため、後半ほど雑炊・麺の相性が良い。 - 進行と食べ方
ちりとり/てっちゃんは山盛り→蒸し焼き→崩して絡めるの繰り返しで“つまみ感”強め。もつ鍋は煮え具合を見ながら椀によそって楽しむ“鍋物”の所作。 - 香りと盛り付け
ちりとり/てっちゃんは香ばしさが持ち味。もつ鍋はにんにく・ニラの香り+出汁感が前面に出やすい。 - 〆の最適解
ちりとり/てっちゃん:うどんでタレを吸わせる→卵で半熟仕上げが王道。
もつ鍋:ちゃんぽん麺でスープを絡める→最後は雑炊で旨味を回収。
見分けのチェックリスト
- 鍋の形が四角く浅い→ちりとり/てっちゃん。丸くて深い→もつ鍋。
- 汁量が少なく具が山盛りで煮焼きしている→ちりとり/てっちゃん。スープたっぷり→もつ鍋。
- 〆にちゃんぽん麺を推している→もつ鍋の可能性大。
家庭で選ぶなら(用途別ガイド)
- お酒のアテ中心/香ばし系が好き → ちりとり(てっちゃん)。ホットプレートでもOK。
- 出汁を楽しみたい・家族で取り分けたい → もつ鍋。スープの塩味は控えめスタートが吉。
- 子ども向け → ちりとりは辛味を別添え、もつ鍋はにんにく控えめ+スープ薄めから。
第4節|基本の材料と具(家庭で揃えやすい代替も)

基本の材料(2〜3人分の目安)
- 牛ホルモン(シマチョウ=大腸) … 300〜400g
└ ぷるっとした脂の甘みがちりとり鍋らしさの核。 - 牛こま切れ/牛バラ … 150〜200g(ホルモンとミックス可)
- 豚バラ … 150〜200g(ホルモンの代替にも)
- キャベツ(ざく切り) … 1/2玉(約500g)*“山盛り”が基本
- もやし … 1袋(200〜250g)
- ニラ … 1束(4〜5cmにカット)
- 玉ねぎ … 1個(くし切りまたは厚めスライス)
- キムチ … 100〜150g(辛味と乳酸のうま味をプラス)
- 豆腐 … 1丁(木綿推奨・水切り)
- きのこ … 適量(椎茸・しめじ・まいたけなど)
目安比率:肉類 400〜500g : 野菜 800〜1000g : タレ 150〜200ml
野菜は加熱で嵩が大きく減るため、最初は鍋山盛りがちょうど良い分量です。
調味料(この節では“何を使うか”のみ)
- 焼肉のたれ(濃厚タイプ) … ベースづくりに便利
- コチュジャン/豆板醤 … 辛味とコクの補強
- にんにく … 薄切りまたはすりおろし
- ほか、醤油・味噌・みりん・砂糖・酒 など
※ タレの具体的な“配合レシピ”は次節「タレ(基本式と味変)」で詳述します。
入手性・好みに応じた代替アイデア
- ホルモンが手に入りにくい場合
→ 牛こま/牛バラで代用可。コクを補うため背脂少量やごま油を仕上げに。 - 脂を控えたい場合
→ 豚ロース薄切り+きのこ増量で軽やかに。豆腐を多めにして満足感アップ。 - 辛味を和らげたい場合(子ども向け)
→ コチュジャン・豆板醤は別添え。キムチは後入れにして取り分け後に追加。 - ボリュームを出したい場合
→ キャベツ+もやし+豆腐の“吸い手三兄弟”でタレをよく含ませる。 - 風味変化
→ にら→小ねぎ、キムチ→甘口ザーサイ、椎茸→えのきなどでも成立。
野菜の切り方・下準備のコツ
- キャベツ:3〜4cm角の大きめざく切り。芯は薄切りにして活用(食感のコントラスト)。
- 玉ねぎ:くし切りで甘みを引き出す。薄すぎると水っぽくなるので厚め推奨。
- もやし:水をよく切る(水っぽさの原因を防ぐ)。
- ニラ:4〜5cmで後半投入。香りを飛ばしすぎない。
- 豆腐:軽く水切りして崩れにくく。
- きのこ:石づきを取り手でほぐす(旨味が出やすい)。
組み合わせ例(シーン別)
- 王道・辛味噌系:ホルモン+牛こま/キャベツ・もやし・ニラ・玉ねぎ・キムチ・椎茸
- 塩ダレ・さっぱり系:豚バラ+豆腐/キャベツ・もやし・小ねぎ・しめじ+レモン少々
- カレー風・食欲爆発系:牛バラ中心/玉ねぎ多め・キャベツ・もやし・エリンギ
買い物メモ(チェックリスト)
- 肉類:ホルモン(シマチョウ)/牛こま or 牛バラ/(代替)豚バラ
- 野菜:キャベツ・もやし・ニラ・玉ねぎ・好みのきのこ・豆腐・キムチ
- 調味:焼肉のたれ・コチュジャン/豆板醤・にんにく(+醤油・味噌・みりん ほか)
ワンポイント:専用の四角いちりとり鍋がなくてもOK。
ホットプレートや大きめフライパンで、“山盛り→蒸し焼き→崩して絡める”の流れを守れば、家庭でも十分に“ちりとり感”が出せます(道具の詳説は後節で解説)。
第5節|タレ(自家製の基本式と味変・市販の素)

5-1 基本タレの「設計図」
ねらい:甘辛のコクでホルモンのうま味と野菜の水分をまとめ、煮焼きで照り絡みさせる。
- 標準比率(しょうゆベース)
しょうゆ:みりん:酒=1:1:1 + 砂糖小さじ1〜2
+ 生姜すりおろし小さじ1/にんにくすりおろし小さじ1/2
(味噌を足すなら大さじ1を加え、砂糖は控えめに) - 目安量(2〜3人分/前節の具量に対応):180〜200ml
※ 濃いめに作り、途中で野菜の水分を見ながら差し水で調整すると失敗しません。 - 下ごしらえ:タレは小鍋で一度さっと煮立ててアルコールを飛ばし、風味をなじませる(約1分)。
使い方(煮焼きの流れ)
- 鍋(またはホットプレート)に半量のタレ → 具を山盛り→フタで蒸し焼き。
- かさが減ったら全体を崩して混ぜ、残りのタレを追いがけ。
- 煮詰まり気味なら差し水(または酒)大さじ1〜2で伸ばし、照り絡みで仕上げ。
5-2 味のバリエーション(味変レシピ)
- ピリ辛コク増し(定番)
基本タレ180mlにコチュジャン小さじ2 or 豆板醤小さじ1、ごま油小さじ1。
→ 甘みは砂糖を気持ち控え、酢小さじ1を最後に入れると後味が締まります。 - 味噌濃厚タイプ(こってり)
基本タレから砂糖を小さじ1に減量し、味噌大さじ1〜1.5を溶く。
→ ホルモン多めのときに相性◎。黒こしょうで輪郭を出す。 - 塩ダレ・さっぱり
水120ml+酒60ml+塩小さじ3/4+にんにく小さじ1/2+白こしょう適量+ごま油小さじ2。
→ レモン汁小さじ2を仕上げに。豚バラ+豆腐で軽やかに。 - カレー風(食欲アップ)
基本タレ180mlにカレー粉小さじ1〜2。仕上げにバター5gでコク追加。
→ 玉ねぎ多め・きのこ合わせが好相性。 - 子ども向け甘口
砂糖を小さじ2に増やし、辛味は別添え。仕上げに牛乳大さじ1でまろやかに。 - 香りづけ・最後の一手
仕上げにすり白ごま大さじ1/ラー油数滴/山椒少々で表情が変わります。
5-3 市販タレ・素の活用(手軽&失敗しにくい)
- 焼肉のたれ(中辛・濃厚タイプ)を120〜150ml+水30〜50mlでのばす。
→ お好みでしょうゆ小さじ1、コチュジャン小さじ1、にんにく少々を足して調整。 - 「ちりとり鍋用」や「ホルモン用」表記のタレはそのまま半量→追いダレ半量の二段使いが便利。
- 濃度の目安:煮詰めて具に薄く艶が出るくらい。しょっぱくなったら差し水、ぼやけたらしょうゆか酢を小さじ1。
5-4 味が決まるコツ(プロっぽい微調整)
- におい対策:酒と生姜をタレに入れる/ホルモンは熱湯をさっとかけるだけでも違います。
- 水分コントロール:野菜の水分>タレになりがち。最初から入れすぎないが鉄則。
- 甘辛のバランス:「甘い→しょうゆ少量」「塩辛い→砂糖ひとつまみ+差し水」「重い→酢 or レモン少量」。
- 照りはみりんの還元+軽い煮詰めで作る。砂糖を増やしすぎない。
- 保存:タレは加熱後に清潔な容器へ。冷蔵3〜5日、小分け冷凍約1か月が目安。
第6節|道具と調理法(鉄板・専用鍋・ホットプレート・フライパン)
6-1 道具の選び方と特徴
- 専用ちりとり鍋(四角く浅い鉄板鍋)
熱の当たりが均一で“煮焼き”の水分コントロールがしやすい。見た目の臨場感も抜群。 - 大判の鉄板
食卓でワイワイ作るのに最適。面積が広い=具を薄く広げられるので蒸発が早く、香ばしさを出しやすい。 - ホットプレート
温度一定&蓋つきで失敗しにくい。家庭再現の第一候補。角型プレートだと扱いやすい。 - フライパン(厚手・28cm目安)
手軽で後片付けも簡単。油をしっかり引いて焼き色をつけるのがコツ。具は2人前程度までがやりやすい。
迷ったら:ホットプレート→家族向けの安定運用/フライパン→少人数のサッと一品/専用鍋・鉄板→香ばしさ重視。
6-2 調理前のセットアップ(共通)
- 予熱:
専用鍋・鉄板・フライパン=中火で2〜3分/ホットプレート=200℃で2〜3分。 - 油:サラダ油または牛脂を小さじ2〜大さじ1。鍋肌全体に薄くのばす。
- 下準備(におい対策):ホルモンは熱湯をさっとかけるか、キッチンペーパーで水気を拭く。
- タレ:本節の手順では半量→追いダレの二段使いが基本。
6-3 並べ方の基本(層をつくる)
- 下層:キャベツ・玉ねぎ(火が通りにくい野菜)
- 中層:ホルモンや牛こま・牛/豚バラ、きのこ、豆腐
- 上層:もやし・ニラ・キムチ(火の通りが早いもの)
ポイント:山盛り=正解。加熱でかさが半分以下になる前提でたっぷり乗せる。
6-4 基本の調理手順(“蒸し→崩し→照り絡め”)

- 半量のタレを鍋底に流し、具を山盛りにのせる。
- 蓋をして蒸し焼き(中火)4〜6分:野菜の水分と脂で全体に火を通す。
- 全体をヘラで大きく崩し混ぜ、底から返してタレを行き渡らせる。
- 残りのタレを追いがけして2〜3分加熱。
- 水分量を見て調整:濃い→水または酒を大さじ1〜2/薄い→しょうゆや味噌を少量追加。
- 照りが出て、野菜がしんなりしたら食べ始めOK。食べ進めながら軽く混ぜ直す。
6-5 道具別・火加減と時間の目安

- 専用鍋/鉄板:中火キープ。蒸し4〜6分 → 崩し2分 → 仕上げ2分。角部は焦げやすいので中央↔端を入れ替える。
- ホットプレート:200℃で蒸し開始→具が沈んだら180℃に下げて照り絡め。焦げそうなら保温寄りへ。
- フライパン:中火。蒸しの間は蓋をずらして蒸気を逃がし、崩した後は蓋を外して水分を飛ばす。
6-6 味詰まり・焦げ付き“あるある”と対策
- 味が濃くなった:差し水 or 酒を大さじ1〜2、酢小さじ1で後味を締めるのも有効。
- 水っぽい:蓋を外して1〜2分強めの中火で飛ばす。混ぜすぎず面を焼く時間を作る。
- 焦げやすい:油が足りない/火力が強い。油少量追加+温度を一段下げ、端の具を中央へ寄せる。
- 味ムラ:崩し混ぜは底から大きく返す。タレは2回に分けるのが鉄則。
6-7 仕上がりのサイン
- キャベツが半透明、もやしがシャキ寄りで止めると食感が良い。
- ホルモンはぷるっと弾力、断面の脂が透けて見える。
- 鍋肌に薄い照りの膜が出て、香ばしい匂いが立てば食べ頃。
6-8 食べ方のすすめ(卓上調整)
- 取り分けてからごま油数滴、七味・山椒・黒こしょうで表情をつける。
- 辛味はラー油やコチュジャン別添えで可変式に。子ども向けにも対応しやすい。
6-9 〆へのつなぎ(予告)
- 焼きうどん風:具を端に寄せ、残りタレを少し足して茹でうどん投入→卵を落として半熟仕上げ。
- おじや:ご飯を入れ、差し水で濃度を調整→溶き卵でとじる。
(詳細は後節「〆の楽しみ方」で解説)
6-10 後片付けと手入れ
- 鉄製は洗剤を控え、お湯で洗って水分を飛ばし、薄く油を塗って保管。
- ホットプレートは完全に冷めてから拭き取り。においが気になる場合は温め直してからから拭きすると軽減。
第7節|おいしく食べる作法と注意点

7-1 食べ進め方の基本
- 少しずつ“煮焼きして摘む”
山盛りの具を一気に崩さず、表面から少量ずつ崩しては箸で摘む→また蒸し焼き、の繰り返し。香ばしさを保ち、焦げ付きも防げます。 - 混ぜ直しは“底から大きく”
ヘラで鍋底から返すように混ぜるとタレむらが出にくい。混ぜすぎると水っぽくなるので要注意。 - 温度は中火キープ
強火は焦げの原因、弱火は水っぽさの原因。中火で照りが出る状態を軸に。
7-2 おすすめの食べる順序
- 甘みの出る野菜(キャベツ・玉ねぎ)から。
- ホルモン・肉でコクを楽しむ。
- ニラ・キムチは後半に加えて辛味と香りで締める。
→ 胃にやさしく、味の階段がついて食べ飽きません。
7-3 取り分け・共有の工夫
- 取り箸+小皿を用意。鍋用と食事用で箸を分けると衛生的。
- 辛味は別添え(コチュジャン、ラー油、七味、山椒)。各自が好みで後がけ。
- 小皿に卵黄やごま油少量を用意して、つけだれ感覚で味変しても◎。
7-4 注意点と対策
- 脂っこさ対策
野菜を多めに。取り分け時は豆腐・きのこと一緒に口へ運ぶとバランスが良い。仕上げに酢やレモン少量で後味すっきり。ホルモンは下湯通しで余分な脂と匂いを軽減。 - 辛味の調整
基本は無辛〜控えめで作り、辛味調味料は卓上で足す。辛くなりすぎたら豆腐・ご飯・卵を合わせてマイルドに。 - 匂い対策
下処理(塩もみ・湯通し)+生姜・にんにくの力を借りる。調理中は換気、衣類は上着を外しておくと安心。 - 味詰まり・焦げ
濃い→差し水or酒を少量。水っぽい→蓋を外して中火で1〜2分。焦げそう→火を一段下げ、端の具を中央へ寄せる。
7-5 卓上の味変アイデア
- コク:ごま油数滴/すりごま
- 辛味:ラー油/七味/糸唐辛子
- 香り:山椒/黒こしょう/にんにくチップ
- さっぱり:酢・レモン/大葉・小ねぎ
- コク甘:卵黄のせ(取り分け後)
7-6 子ども・ご年配向けの配慮
- 辛味別添え・後のせを徹底。
- 肉やホルモンは小さめカット、野菜は厚薄をそろえると食べやすい。
- 塩分は控えめスタート→卓上で追加する“後決め”が安全。
まとめ:中火で“蒸し→崩し→照り絡め”、少量ずつ摘むのが作法の核。脂・辛味・匂いは卓上で可変にして、みんなが自分のベストに調整できる環境を整えると、最後まで心地よく楽しめます。
第8節|〆(シメ)の楽しみ方
8-1 焼きうどん化(香ばしく“吸わせて、焼く”)

ねらい: 残ったタレと脂・野菜の旨味をうどんに吸わせてから軽く焼きつけ、香ばしさで締める。
目安: ゆでうどん1玉/人、追いダレ大さじ1〜2/玉、火力中火→中強火、時間2〜3分
- 鍋の具を片側に寄せる(野菜・肉を少し残しておくと旨味が移りやすい)。
- 残ったタレが少ない場合は追いダレを入れ、うどんを投入。
- 押し付ける→返すを繰り返し、面で焼いて水分を飛ばす。
- 具を全体に混ぜ、照りが出たら完成。
仕上げ案: 卵黄・黒こしょう・バター少々・刻みのり・かつお節。
コツ:ベチャつく時はタレを足しすぎない/水分が多い時は1分だけ蓋を外して中強火で飛ばす。
8-2 雑炊・おじや(まろやかに“包んで”締める)
ねらい: 残り汁のコクを米粒に行き渡らせて、卵でやさしくまとめる。
目安: ご飯120〜150g/人、残り汁200〜300mlに調整、卵1〜2個、時間3〜4分
- 鍋底の焦げを木ベラで軽くこそげ、旨味を溶かす。
- 差し水 or だしで塩分を整え、軽く沸かす。
- ご飯をほぐして入れ、弱〜中火で1〜2分、ふっくらさせる。
- 溶き卵を回し入れ、火を弱めて30〜40秒。
- ふんわり半熟で火を止め、小ねぎ・ごまを散らす。
アレンジ: 仕上げに粉チーズでコク増し/柚子皮で香りを立たせる。
コツ:しょっぱくなったら差し水+みりん数滴、ぼやけたら醤油数滴 or 酢少量で輪郭を。
8-3 卵とねぎのタイミング
- 卵(雑炊・おじや):沸いたところに回し入れ→すぐ弱火。混ぜすぎず触りすぎないと、とろり半熟に。
- ねぎ:火を止める直前〜直後に散らす。色・香りが立ち、見た目も締まる。
- 焼きうどんに卵黄:取り分け後に各自の器で崩すと、重くなりすぎずコクだけ足せる。
8-4 迷ったらこの比率(クイック基準)
- 焼きうどん:残り汁大さじ2+追いダレ大さじ1/うどん1玉
- 雑炊:残り汁250mlに対し、ご飯150g+卵1個(2人なら卵2個)
8-5 よくある失敗とリカバリー
- 麺がベチャっとする:火力不足。面で焼く時間を作り、触りすぎない。
- 味が濃すぎる:差し水大さじ1〜2→酢数滴で後味を締める。
- 雑炊が水っぽい:中火で30秒追加加熱/ご飯を少量足す。
- 卵が固まる:弱火に落としてから卵→火を止めて余熱で整える。
8-6 〆の小ワザ集
- 香ばしさ増し(焼きうどん)…最後に鍋肌に5秒押し付けて軽く焼き目。
- まろやか増し(雑炊)…バター5g or ごま油少々を落とす。
- さっぱり…レモンや酢を小さじ1、食べる直前に。
- 追い辛…ラー油・一味・山椒を卓上で可変。
まとめ:“吸わせて焼く”うどんか、“包んで整える”雑炊か。鍋に残った旨味を最後の一滴まで生かすのが、ちりとり鍋の至福の締め方です。次節は名店ガイドと地域差に進みます。
第9節|名店ガイドと地域差(大阪本場→全国)

9-1 大阪本場のキープレイヤー
- 発祥店と兄弟店
大阪市生野区の発祥店を起点に、心斎橋の兄弟店などが広まりを牽引。現在も鶴橋エリアを中心に、地元客に根づいた老舗が健在です。 - 大阪主要エリアの傾向
- 心斎橋・難波:観光客も多く、上質肉×辛味可変の店が充実。味噌だれの設計が緻密で、A5クラスの牛肉やホルモンを使う店も。
- 鶴橋:コリアンタウンの食文化が色濃く、ホルモンの鮮度とタレのパンチで勝負。キムチや副菜の自家仕込みを誇る店が多い。
- 梅田:アクセス良好な居酒屋スタイルが中心。仕事帰りにサクッと楽しめる手軽さと、サイドメニューの豊富さが魅力。
大阪は「肉の質/タレの濃度/辛味の調整幅」で店の個性が分かれます。初めてなら辛味別添え対応の店を選ぶと安心。
9-2 地域差の特徴(味・スタイルの幅)
- 大阪圏:濃厚甘辛だれ+香ばしい“煮焼き”が王道。キムチ&にらの使い方に店の流儀。
- 東京:新宿・上野などで大阪発のスタイルを踏襲しつつ、辛味・塩分をやや抑えた設計や、クラフト調味の店も増加。
- 京都:だし文化の影響で、しょうゆ/味噌の輪郭をやわらげた“あっさり寄り”のタレが目立つ。九条ねぎなど京野菜の起用も。
- 福岡:もつ鍋文化と並走しつつ、辛味噌×コクで差別化。〆の焼きうどん推しが強い店もあります。
9-3 はじめての店選び|5つの指標
- 肉の扱い:ホルモンの部位表示(シマチョウ等)と下処理の丁寧さ。
- タレのタイプ:味噌系/しょうゆ系/塩・カレー等の味変可否。子ども向けに辛味別添えができるか。
- 器具:専用角鍋か鉄板か。香ばしさ重視なら角鍋/鉄板の店が有利。
- 〆の提案:焼きうどん/おじやの両対応か、追加タレや卵の有無。
- 席環境:換気・煙対策や卓上の取り分け動線(取り箸・小皿)が整っているか。
9-4 大阪での“ちりとり鍋ハシゴ”ミニプラン(例)
- 昼:鶴橋でコリアンタウン散策→キムチや副菜を少量買って持ち帰り。
- 夕:心斎橋・難波で上質肉のちりとり鍋を堪能(辛味は後のせ)。
- 夜食:梅田で軽い一杯+〆の焼きうどん推しの店で二軒目。
※ 店名・営業時間は変動するため、出発前に公式情報を確認するのがおすすめです。
9-5 注文の“型”(初回に失敗しない)
- 2人前の基本盛り+野菜追加(キャベツ・もやし多め)
- 辛味は別添え(コチュジャン/ラー油)でテーブル調整
- 〆は半分を焼きうどん、半分を雑炊にして食べ比べ
まとめ:大阪本場は濃厚タレ×香ばし“煮焼き”が芯。地域ごとに辛味・塩分・だし感の振れ幅があり、旅行先でも土地の“ちりとり”が楽しめます。
第10節|お取り寄せ・通販・お土産情報

10-1 名店監修セットの魅力(内容と前提)
- 構成のめやす:ホルモン(シマチョウ中心。赤センマイ等のミックスあり)/牛ハラミ・タンなどの加点パーツ/特製だれ(濃縮)+割り用だし/〆用麺(ちゃんぽん・うどん等)/糸唐辛子・ごま など。
- 野菜は別途:キャベツ・玉ねぎ・豆もやし・にら等は自宅で準備するのが一般的。
- 再現性が高い:味の“設計”が済んでいるため、蒸し→崩し→照り絡めの手順に集中でき、初心者でも失敗しにくい。
10-2 セットの選び方(人数・辛さ・スタイル)
- 人数と分量:2〜3人前/4〜5人前など。タレ量と肉量のバランスを確認。
- 肉の構成
- ホルモン特化…ちりとり鍋らしさ最重視。脂の甘みとコク重視。
- ホルモン+赤身ミックス…食べやすく、家族向けに人気。
- フルセット(ハラミ・タン入り)…満足感重視・来客向け。
- タレのタイプ:甘辛みそ系/しょうゆ系/塩ダレ/カレー風など。子どもがいる場合は辛味別添え可の表示があると安心。
- 〆の同梱:麺付きか、ご飯・うどんを別途用意するかを事前にチェック。
- 保存形態:冷凍 or 冷蔵。賞味期限・保管温度・解凍方法(冷蔵庫解凍推奨)を確認。
- 器具適性:IH/直火可否、鍋・プレートサイズの目安を要チェック。
10-3 はじめてでも失敗しない使い方
- 前日夜に冷蔵庫へ移し、肉とタレをゆっくり解凍。
- 当日は野菜を山盛り準備(キャベツ多め推奨)。
- タレは半量→追いダレの二段使いで、濃さを差し水で微調整。
- 焦げそうなら温度を一段下げ、端の具を中央へ。
- 〆は焼きうどん化 or 雑炊(本記事「第8節」参照)。
10-4 活用シーン
- 家族・友人の集まり:ホットプレートで“見せ場”を作りやすい。
- 差し入れ・ホームパーティ:〆の麺まで一体化していると段取りが楽。
- 贈答・ギフト:化粧箱・のし対応の有無や、冷凍便の到着日時指定を確認。
10-5 よくあるQ&A
- Q:辛さは調整できる?
A:辛味は後のせが基本。卓上でコチュジャン・一味・ラー油を足す形に。 - Q:解凍は急いでも大丈夫?
A:常温・電子レンジの強解凍はドリップ増・食感劣化の原因。冷蔵庫解凍が無難。 - Q:野菜は何をどれくらい?
A:キャベツ1/2玉+もやし1袋+にら1束+玉ねぎ1個が2〜3人前の目安。 - Q:におい・脂が苦手
A:ホルモンはさっと湯通し。野菜を増やし、仕上げに酢やレモン少量で後味を締める。
10-6 買い物チェックリスト
- セット本体(肉類・特製だれ・割りだし)
- 〆の麺(付属なければうどん or ちゃんぽん)
- 野菜:キャベツ/もやし/にら/玉ねぎ/(好みで)きのこ・豆腐・キムチ
- 卓上味変:ごま油・すりごま・ラー油・七味・山椒・卵
10-7 あると便利な道具
- 角型ホットプレート or 厚手フライパン(28cm目安)
- 蓋(蒸し焼きで必須)
- ヘラ(底から大きく返し、照りを絡める)
まとめ:名店監修セット+家庭の野菜で、誰でも“大阪の味”に直行。辛味は卓上で可変、タレは半量→追いダレ、〆は二刀流——この3点を押さえれば、お取り寄せでも失敗知らずです。
第11節|郷土料理としての文化的背景
11-1 下町の「まかない」から生まれた知恵
大阪・生野区の町工場で働く人びとのまかないが出発点。手頃で栄養がとれ、短時間で大人数に行き渡る――そんな現場ニーズに応える形で、四角く浅い鉄鍋とホルモン+山盛り野菜の組み合わせが磨かれていきました。もとは敬遠されがちだった内臓肉(ホルモン)を“おいしいごちそう”へ昇華した発想は、まさに下町の暮らしの知恵です。
11-2 在日コリアンの食文化との交差
生野区はコリアンタウンとして知られ、日常的にキムチ、コチュジャン、にら、にんにくといった食材・調味が身近でした。ちりとり鍋は、そうした要素を自然に取り入れながら、甘辛だれ×煮焼きという日本の家庭に馴染む技法で独自進化。説明の便宜上「韓国風すき焼き」と語られることもありますが、実態は在日コリアンの味覚と大阪の下町料理が交わって生まれた“橋渡しの鍋”です。
11-3 鍋を囲む共同体の風景
ちりとり鍋は大皿を囲んで少しずつ摘む所作が基本。辛味は卓上で可変、野菜でバランスを取りつつお酒のアテにも食事にもなる柔軟さが、職場仲間・家族・友人といったコミュニティの食卓にフィットしました。鉄板を囲むライブ感と香ばしさは、会話の熱とシンクロします。
11-4 「庶民のまかない」から全国区へ
下町で愛された一皿は、やがて飲食店の名物となり、若者やサラリーマンの間で人気を獲得。メディア露出が加わると、大阪のご当地鍋として一気に認知が拡大し、イベント出店や通販の鍋セットなど商品化も進展。今では家庭のホットプレートでも再現され、“大阪の味”が各地の食卓へ届くようになりました。
11-5 現代的アップデート
- 多様な嗜好への対応:辛さ別添え、ホルモンと赤身のミックス、塩ダレ・カレー風などの派生。
- 家庭再現性の向上:専用鍋がなくてもフライパンや角型プレートで成立。
- 衛生・快適性の配慮:取り箸・小皿、換気、におい対策が一般化。
- 地域色の発露:大阪らしい濃厚甘辛だれ、京都のだし感、福岡の“もつ鍋文化”との対比など、土地ごとの個性が表れています。
11-6 料理が映す価値観
ちりとり鍋は、
- 資源を活かす発想(“捨てるもの”をおいしく)
- 異文化の共生(在日コリアンの味覚との融合)
- 現場起点の実用性(短時間・大人数・満足感)
を体現する、大阪の庶民文化の象徴。鍋の湯気の向こうに、働く人の暮らしや地域の絆が見えてくる――それが、この鍋の何よりの魅力です。
第12節|観光と組み合わせる楽しみ(モデルコース提案)
12-1 半日〜1日のモデルコース(家族/友人グループ向け)


〔午前〕鶴橋・大阪コリアタウンを散策 → キムチや惣菜をお土産に
鶴橋〜桃谷一帯は在日コリアン文化が息づくエリア。商店街や市場で韓国食材・惣菜・コスメ・雑貨をチェックしつつ、トッポギやキンパなどの食べ歩きも楽しめます。
〔寄り道〕近隣の街中公園で一休み
ベンチで小休止して荷物を整理。買ったスナックで軽いピクニックをするのも◎。
〔ランチ〕「ちりとり鍋・鉄板焼き居酒屋 ホルモンと∞」(西長堀)
甘辛だれ×ホルモンが看板のちりとり鍋。複数人でシェアしながら、旅ならではの“鍋のライブ感”を堪能しましょう。混雑しやすい時間帯は事前連絡が安心。
〔移動〕鶴橋 → 心斎橋
大阪メトロ中心の乗り継ぎで、10〜20分程度が目安。乗換はなんば経由がスムーズです。
〔午後〜夕方〕心斎橋筋商店街でショッピング
アーケードが続く大阪を代表する商店街。ファッションから雑貨まで揃い、雨でも歩きやすいのが魅力。
〔ディナー〕心斎橋界隈の名店で
ちりとり鍋の専門店や、炭焼きの人気店「炭焼き・幸 心斎橋」などを候補に。週末は予約推奨。
〔夜〕道頓堀のネオンで締めくくり
グリコサイン前や戎橋周辺で記念撮影。屋台・スイーツの食べ歩きも夜が本番です。
12-2 予約・段取りのコツ
- 人気店は事前連絡:ランチや週末は席が埋まりやすいので、訪問前に電話やネットで確認。
- 移動はメトロ中心:鶴橋はJR・近鉄・大阪メトロが交差。運行本数が多く、行程変更にも強い。
- 荷物対策:ショッピング後はコインロッカーを活用。身軽だと商店街も鍋店も快適。
12-3 代替プラン(満席・雨天時)
- 昼の鍋は西区周辺で:西長堀〜堀江は飲食店が豊富。直前予約や現地での空席確認がしやすい。
- 屋根のある商店街へ:心斎橋筋商店街や近隣のアーケードへ避難すれば、雨でも計画が崩れにくい。
12-4 ちりとり鍋が主役の“一日”を成功させるポイント

- 辛味は卓上で可変:コチュジャンやラー油は別添えにして、全員が心地よい辛さへ。
- 野菜は多めに:キャベツ・もやし・にらをしっかり。食べ疲れせず、後半の〆までおいしい。
- 〆は二刀流:焼きうどんと雑炊を半分ずつ試すと満足度が高い。
まとめ:コリアタウンでカルチャー体験 → 本場のちりとり鍋ランチ → 心斎橋でショッピング&名店ディナー → 道頓堀の夜景、という流れなら、大阪の食と街の濃度を一度に味わえます。
第13節|英語で紹介するちりとり鍋(English Intro & Phrasebook)
13-1 One-sentence definition(英語の一文定義)
“Chiritori Nabe is an Osaka-style hot pot cooked in a square, shallow iron pan, where beef offal and vegetables are grilled and simmered together in a savory—often spicy—sauce.”
Pronunciation: chee-lee-TOH-ree NAH-beh(日本語:ちりとり鍋)
13-2 Major ingredients(主要具材の英訳)
- 牛ホルモン(Gyū horumon) — Beef offal (intestines)
- 牛こま(Gyū koma) — Thinly sliced beef
- 豚バラ肉(Buta baraniku) — Pork belly slices
- キャベツ(Kyabetsu) — Cabbage
- もやし(Moyashi) — Bean sprouts
- ニラ(Nira) — Garlic chives
- 玉ねぎ(Tamanegi) — Onion
- キムチ(Kimuchi) — Kimchi
- 豆腐(Tōfu) — Tofu
- きのこ(Kinoko) — Mushrooms
13-3 How to eat(食べ方の英語説明)
“Gradually grill and simmer the piled ingredients, then pick small portions while cooking. Mix occasionally so the sauce coats everything. For the shime (finishing dish), add udon noodles or rice to soak up the remaining flavors.”
13-4 Understanding aid(理解を助ける表現)
“Korean-style sukiyaki” — a handy phrase to explain that Chiritori Nabe blends grilling × simmering like sukiyaki, with the spicy, savory kick often found in Korean hot pots. It’s a locally evolved Osaka dish.
13-5 Menu & phrasebook(注文フレーズ)
- “Less spicy, please.”(辛さ控えめでお願いします)
- “Chili on the side, please.”(辛味は別添えで)
- “No offal, beef slices only.”(ホルモン抜き、牛薄切りのみで)
- “Extra cabbage / bean sprouts, please.”(キャベツ/もやしを追加してください)
- “Can we add udon for shime?”(〆にうどんを追加できますか?)
- “Do you have a non-spicy sauce?”(辛くないタレはありますか?)
Useful words:
- shime(〆=finishing noodles/rice)/spicy(辛い)/mild(マイルド)/allergy(アレルギー)/garlic(にんにく)
13-6 Synonyms & tips(別名・豆知識)
- “Horumon”=offal、“Tecchan”=beef large intestine(てっちゃん鍋=ちりとり鍋の別名・近縁)
- Pan は角型のshallow iron pan。店によってはテーブルのhot plateやteppanで提供。
- Spatula は日本語でヘラ。スタッフがmix(混ぜる)まで手伝ってくれる店も多い。
13-7 Dietary notes(食文化・配慮)
Chiritori Nabe often contains beef offal and pork. Vegetarian/halal options are limited; ask staff in advance. Heat and aroma are part of the experience—ventilation varies by shop.
13-8 Ready-to-use blurb(配布物・観光案内向け定型文)
“Chiritori Nabe is an Osaka comfort food cooked in a square, shallow pan. Piled cabbage, bean sprouts, and horumon (beef offal) are grilled and gently simmered in a rich, often spicy sauce. Share from the pan as it cooks, then finish with udon or rice to capture every drop of flavor.”
さらに短く:
“Osaka’s square-pan hot pot—grilled-and-simmered beef offal and veggies, finished with noodles or rice.”
第14節|よくある質問(FAQ)
Q1. ホルモンが苦手だけどどうすればいい?
- 代用:牛こま・牛バラ・豚バラ・鶏もも・ウインナーでOK(混ぜても可)。
- 下処理で食べやすく:ホルモンは熱湯をサッとかける or 1〜2分だけ下茹ですると、脂と匂いが和らぎます。
- タレでサポート:甘辛み強め・にんにく&生姜を少し足すと“ホルモン感”がマイルドに。
Q2. 辛さの調整はできる?
- 無辛ベース+卓上で後がけ(コチュジャン/豆板醤/ラー油)。家族で辛さを可変にできます。
- 作りすぎて辛くなったら、砂糖ひとつまみ+差し水でバランス調整。豆腐・卵・チーズの追加も有効。
Q3. 家庭で煙や匂いを抑えるには?
- 換気最優先:強めの換気+窓を少し開ける。
- 火力は中火キープ:強火は煙の元。**“蒸し→崩し→照り絡め”**で短時間勝負。
- 下処理:ホルモンは湯通しで余分な脂を落とす。
- 道具:ホットプレートは温度一定で煙が出にくく、蓋つき運用もしやすい。
Q4. 子ども向けにはどう調整する?
- 辛味は別添え、タレは甘みを少し強めに。
- 具材は小さめカットで食べやすく。豆腐・きのこ多めでやさしい口当たりに。
- 仕上げに卵やチーズでまろやかさをプラス。
Q5. 保存方法・翌日の楽しみ方は?
- 保存:粗熱をとってから密閉し冷蔵で1〜2日目安。再加熱はしっかり沸くまで。
- 翌日アレンジ:残り具+タレで焼きうどん/雑炊。味が濃ければ差し水、薄ければしょうゆ少量で調整。
Q6. 専用の四角い鍋がないと作れない?
- 不要です。ホットプレートや厚手フライパンでOK。角型プレートだと“ちりとり感”が出しやすいです。
Q7. IHでも大丈夫? 焦げやすくない?
- IH可。中火設定で予熱→半量タレ→山盛り→蓋で蒸しを徹底。
- 焦げそうなら温度を一段下げ、具を端↔中央で入れ替えると安定します。
Q8. 量の目安は?(2〜3人分)
- 肉類(ホルモン+代用肉)400〜500g/野菜800〜1000g/タレ180〜200ml。
- 最初は山盛りでOK(加熱で半分以下に)。
Q9. 匂い移りが気になる…服や部屋への対策は?
- 調理前に上着を外す、換気+キッチンペーパーで鍋肌の脂をこまめに拭う。
- 調理後に軽く再加熱→空焚きに近い状態で1分換気すると匂い抜けが早いです。
Q10. 〆は何がベスト?
- 濃厚派は焼きうどん(押しつけて“面で焼く”のがコツ)。
- まろやか派は雑炊(卵は弱火で半熟に)。
- 迷ったら半分ずつ二刀流がおすすめ。
まとめ:辛味は後のせ/中火キープ/下処理で匂い&脂ケア。この3点を押さえれば、誰でも自宅で快適に“ちりとり鍋”を楽しめます。
参考文献・出典一覧(カテゴリ別)
1) 総合・歴史・文化
- Wikipedia「ちりとり鍋」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%82%8A%E3%81%A8%E3%82%8A%E9%8D%8B - 大阪観光情報 Webマガジン「大阪鍋マップ:ちりとり鍋」
https://www.osaka21.or.jp/web_magazine/nabe/map/osaka_tiritori.html - HOMES LIFELIST「ちりとり鍋とは?」
https://www.homes.co.jp/life/cl-kurashi/cm-gourmet/35443/ - グルメキャリーまとめ「甘辛い味付けでお箸が進む!大阪が生んだ「ちりとり鍋」」
https://www.gourmetcaree.jp/matome/2019/04/24/post-13460/ - 郷土料理ものがたり「ちりとり鍋」
http://kyoudo-ryouri.com/ja/food/2871.html - eats.jp「ちりとり鍋」
https://eats.jp/detail/100250 - THE GATE – 【名物鍋】大阪人は鍋好き!?背景やご当地鍋の種類を知ろう〜個室あり専門店も紹介〜
https://thegate12.com/jp/article/633 - T-Kintaro コラム(ちりとり鍋・大阪鍋文化関連/複数)
- https://t-kintaro.com/column/81ccbf9b-9e3f-48fb-9cd1-142750eb1e78
- https://t-kintaro.com/column/4e224b70-ffe9-4ab3-b287-048a513e0f27
- https://t-kintaro.com/column/467d749b-e0b0-4abf-ad2d-09418509a49d
- https://t-kintaro.com/column/947af7ea-83cb-40ca-93d1-123d11f25e6d
- https://t-kintaro.com/column/89bb9517-bd42-46fc-bd4b-3f01118a44f5
- https://t-kintaro.com/column/27fa3a32-b988-46e9-a534-e5775f93df8e
- https://t-kintaro.com/column/5ea5bba6-85b9-463e-b6a6-8f9f488ad868
2) 作り方・レシピ(家庭再現)
- セブンプレミアム公式ブログ(家庭向け鍋・アレンジ)
https://7premium.jp/blog/detail?id=1168 - DELISH KITCHEN レシピ「ホットプレートで作る!ちりとり鍋」
https://delishkitchen.tv/recipes/293289290220176509 - エバラ食品 レシピ(ちりとり鍋/ホルモン鍋)
- ダイエー FOODS INFO レシピ
https://www.daiei.co.jp/foods_info/recipes/detail/20250111/ - ミツカン おうちレシピ
- マカロニ(作り方のコツ・アレンジ)
https://macaro-ni.jp/32676 - YouTube(家庭再現の参考動画)
3) 道具・調理器具
- MonotaRO「ちりとり鍋(鉄板)」
https://www.monotaro.com/g/00989495/ - Yahoo!ショッピング検索(ちりとり鍋・鉄板/IH対応 等)
4) 名店ガイド・地域差・観光
- 食べログまとめ(ちりとり鍋/大阪エリア 等)
- ホットペッパー グルメ(大阪・鍋/ちりとり鍋)
- 店舗公式(例:やなちゃん)
https://chiritorinabe-yanachan.gorp.jp - aumo・じゃらん(大阪グルメ/観光スポット)
- JAPAN-GUIDE(大阪観光の基礎情報)
https://www.japan-guide.com/e/e2315.html - Ichiban Osaka(英語のローカル情報:Chiritori)
https://ichibanosaka.com/localinfomation/chiritori/
5) お取り寄せ・通販・ギフト
- もつ無双ゆまる(公式通販)
https://yumaru.buyshop.jp/items/82505566 - もつすい(通販ページ/鍋セット)
https://www.motsusui-nara.com/shopping.html - 楽天市場・Yahoo!ショッピング(検索・人気)
- 47CLUB(ご当地グルメ)
https://www.47club.jp/products/7185904566478 - 価格・人気動向(参考)
https://food.biglobe.ne.jp/rankings/11076/
6) 英語解説・観光者向けリソース
- byFood「Japanese Nabe」
https://www.byfood.com/blog/culture/japanese-nabe-hot-pot - LIVE JAPAN「Hot Pot Guide」
https://livejapan.com/en/article-a0000350/ - SAVOR JAPAN「Guide to Nabe」
https://savorjapan.com/contents/discover-oishii-japan/the-complete-guide-to-nabe-a-staple-japanese-winter-food - 郷土料理ものがたり(英語版:Chiritori Nabe)
http://kyoudo-ryouri.com/en/food/2871.html
注:一部のリンクは検索・まとめページです。店舗の最新情報(営業時間・定休日・メニュー)や通販の在庫・価格は変動します。訪問・購入前に各公式ページでご確認ください。
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