京野菜の郷土料理
「賀茂なすの田楽」は京都の伝統野菜である「賀茂なす」を味噌田楽にした京都の郷土料理です。「賀茂なす」を半分に切って油で揚げて、味噌、みりん、砂糖、酒を合わせたものをまぶしたものです。
「賀茂なす」は京都の代表的な伝統野菜で、京都北区上賀茂地区で盛んに栽培されてきた事からその名が付けられました。別名「大芹川」ともいわれるのは、上賀茂地区で栽培される前は下鳥羽村芹川で作られていたからです。
賀茂なすの発祥
「賀茂なす」の発祥は定かではありませんが、江戸時代に京都御所に献上された事があり、やがて上賀茂地区で作られる様になったようです。又、貞亨元年(1684年)に刊行された近世の京都百科事典ともされる「擁州府志」には、「茄子には細長い長茄などありますが、風味は円大なものが最高」と「賀茂なす」らしき記述があります。
「賀茂なす」の特徴
「賀茂なす」は肉質がきめ細かくて歯ごたえが良く、煮ても焼いても崩れず、瑞々しいのが特徴です。肉質が緻密なので一般的な茄子と比べて油の吸収が少なく、油で揚げてもベタベタにならずにしっかりとした食感を味わえます。
「賀茂なす」はその美味しさから「なすの女王」と呼ばれるほどで、産地の上賀茂地区では厳しい基準を満たしたものだけが正式に「賀茂なす」として認定されて出荷されています。正円形で直径は10~12cm位で重さは300~500gですが、大きいものだと1kgにもなります。
一般的な茄子と比べて栽培が難しく、水や肥料を大量に消費する上に、葉が触れただけでも傷になる事もあり、葉が日陰になると色艶もあせてしまいます。傷もなく艶もある綺麗な「賀茂なす」を作るには相応の手間隙がかかる為に自ずと値段も高くなります。値段も高い地域の伝統野菜という事であまり見かける事はありませんが、手に入れる機会があればぜひ田楽を作ってみたいものです。
コメント