おやき

信州の郷土料理「おやき」

「おやき」は長野県の郷土料理で、野菜や山菜を小麦粉などで包んだお饅頭です。野菜や山菜などの地元の食材を炒めて味噌や醤油で味付けし、小麦粉やそば粉を水で溶いて練った生地で包んで、焼いたり蒸したり揚げたりする料理です。長野県北部の上水内郡西山地方が発祥といわれていますが、現在では県全域で食されています。「おやき」の歴史は古く、上水内郡小川村の縄文遺跡には雑穀の粉を練って焼いた跡が発見されており、これが「おやき」のルーツではないかといわれています。長野県北部は山間地や急斜面が多く、冷涼な気候で稲作が難しい地域で、稲を作る代わりに小麦や蕎麦が多く作られていました。米があまり手に入らない中で、小麦粉や蕎麦粉の生地で作る「おやき」は米の代替食として良く食べられていました。「おやき」は主食、日常食、おやつとして各家庭に根ざした料理です。郷土料理として各家庭で食べられるだけでなく、スーパー、惣菜店、土産物店、出店や善光寺などの観光地でも販売されており、信州名物として幅広く親しまれています。


IROHADO 03 / em2me

 

餡の種類

「おやき」の中身となる餡は主に野菜や山菜ですが本当に多種多様です。野菜や山菜の具としては野沢菜、茄子、おから、かぼちゃ、切干大根、きのこ、野菜ミックス、きんぴらなどがあります。餡の具は地元の旬の食材を使用する事が多く、長野県でも地方や時期によって大分異なります。長野名産の野沢菜を信州味噌で炒めたり、切り干し大根を甘辛く煮たり、茄子に甘味噌をつけたりして具にします。又、キャベツ、にんじん、玉ねぎ、高菜などの野菜ミックス、ひじきや豆腐などを詰める事もあります。とはいえ「おやき」は元々家庭で日常的に食べられている郷土食なので、前日に残ったおかずを具にして作る事もしばしばです。そのまま残ったおかずを食べるよりも「おやき」にすれば食が進むというわけです。そんなわけで主食や副食として食べられる事が多い「おやき」ですが、おやつとして具に甘いものを入れる事もあります。小豆餡、くるみ、長野特産のりんごなどをいれておやつとして食べます。

 

生地の調理法

「おやき」の具となる餡は数多くありますが、皮となる生地にも異なる調理法があります。焼く、蒸かす、焼いて蒸かす、蒸かして焼くなど具の中身や地域によって異なります。「おやき」の発祥地ともいわれる長野県北部の西山地方では「灰焼きおやき」といわれる「おやき」を作っていました。「灰焼きおやき」とは囲炉裏の灰の中で蒸し焼きにする「おやき」です。昔はどの家庭にも囲炉裏があり、囲炉裏の上の鉄板で軽く「おやき」を焼いた後、灰の中に入れて蒸し焼きにしていました。十分焼けたら灰の中から出して、周りについた灰を落として食べます。「灰焼き」の他には蒸し器で蒸かしたり、焼き色をつけてから蒸かしたり、蒸かしてから焼き色をつける事もあります。焼く場合は水分を減らして皮がパリパリの食感になりますが、蒸かす場合は水分を含んで皮が柔らかくてモチモチとした食感になります。


Azumino 24~26 / gbSk

 

先祖の霊を迎える「おやき」

信州の郷土食として地元に根ざしてきた「おやき」はお盆に先祖の霊を迎える為の重要な役割を果たしてきました。毎年8月1日には墓掃除をして「おやき」を作り、8月14日の朝には仏前に「おやき」をお供えします。1日に「おやき」を作るのはあの世とこの世を隔てる石の扉が「おやき」を作ってぶつける事によって開くと考えられているからです。1日に石の扉を開ける事でご先祖様が14日までに長い道のりをやってくるというわけです。14日の朝にはこの世にやってきたご先祖様に「おやき」を捧げて供養をします。また、春と秋の彼岸にも仏前に「おやき」を供える事になっており、信州では「おやき」は仏事に深い関わりを持っています。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA