桜えびの旨味が凝縮した「かきあげ」
桜えびの代表的料理といえば「桜えびのかきあげ」です。
桜えびを野菜と一緒にカリッと揚げることで、桜えびのサクッとした食感と甘さ、香ばしさがたまりません。
かき揚げに入れる野菜は様々ですが、一般的には三つ葉、ネギ、玉ねぎ、人参などが多いです。
新鮮な生の桜えびが入手できれば申し分ありませんが、通販では冷凍の生の桜えびもありますし、釜茹でした桜えびや乾燥した干し桜えびでも構いません。
ポイントは桜えびが主役なので野菜は少なめにする事と、サクッとした食感を出す為に衣を少なめにする事です。
「桜えびのかきあげ」はそのまま単品料理として出される事はもちろんですが、ご飯の上にタレとかき揚げをのせた「かきあげ丼」やうどんやそばにのせる「かきあげうどん・そば」もオススメです。
料亭、定食屋、そば屋、居酒屋など幅広いジャンルの店で扱っていますが、観光客向けにサービスエリアやドライブインなどでも食べる事ができます。
「桜えび」とは
桜えびはサクラエビ科のエビの一種で、体長4~5cmの小型のエビです。
体表には155個の発光体があり、昼間は深さ200~300mの海中に生息していますが、夜間は深さ20~50mほどまで上がってきます。
世界でも稀に見る品種のえびで、日本と台湾位でしか水揚げされていません。
国内産は全て駿河湾産
「桜えび」は日本国内では駿河湾、東京湾、相模灘で生息が確認されていますが、水揚げされるのは駿河湾の静岡市清水区の由比漁港と焼津市の大井川港のみです。
これは桜えび漁は由比、蒲原、大井川地区の120隻の漁船にしか漁業許可が与えられておらず、漁業許可を持つ船だけが上記2つの漁港で水揚げをしているからです。
日本国内では他に漁業権を持っている船はおらず、国産の桜えびは全て駿河湾産という事になります。
桜えびの漁業方法とプール制度
桜えびの漁業方法は2艘の船が網を張って夜間に水深浅くまで上がってきた桜えびを獲る「船びき網漁」です。
「桜えび」は昼間は水深深くに生息し、夜間に浅くまで上がってくるので、漁船は夕方に出航し、朝方漁を終えて戻ってきます。
桜えびは希少で生息地域も限られる為、厳しい資源管理が行われています。
漁期は3月中旬から6月初旬の春漁と10月下旬から12月下旬の秋漁の年2回で70日間ほどです。
6月中旬から9月下旬は桜えびの繁殖期に当たり、禁漁期になっています。
秋漁が済んだ冬季は禁漁期ではありませんが、資源保護の為に漁が自粛されています。
又、桜えび漁では「プール制度」と呼ばれる資源保護目的の漁業が行われています。
一隻毎の漁獲量の大小に関係なく、全隻の漁獲量を均等に分配します。
例えば10隻出航して合計100kgの水揚げがあれば、1隻に10kgの水揚げが割り当てられます。
10隻の中には5kgしか水揚げできなかった船もある一方、20kgの水揚げがあった船もあるでしょうが、個々の水揚げ量に関係なく全体の水揚げが平等に配分されます。
これは個々の漁船による競争を避けて乱獲を防ぎ、全体の計画された資源管理の下で漁を行う為です。
富士山と桜えびの絨毯
毎年桜えび漁の時期になると富士川の河川敷では綺麗なピンク色の桜えびの絨毯が見られます。
年間わずか70日ほどしかない漁期の中でも桜えびの天日干しが見られるのは好天の限られた日だけです。
前日に漁が行われ、当日に天気がよければ網の上に桜えびを広げて天日干しします。
河川敷が透き通る様に綺麗なピンク色の絨毯で埋め尽くされる様と冨士山との景色は圧巻です。
桜えびの調理法
桜えびの調理法はかきあげの他にも沢山あります。
生でそのまま食べるのは最高ですが、鮮度を保つのは難しいので冷凍された生の桜えびでなければ、中々生で食べる事はできません。
漁港周辺の飲食店でも漁期の水揚げがあった時にしか食べれないのが生の桜えびです。
それでも今では冷凍技術の発達で産地でなくても通販で冷凍物を取り寄せれば、解凍して生の桜えびを食べる事ができる様になりました。
生の桜えびを何もつけずにそのまま食べても旨味と甘味がありますが、わさび醤油をつけても美味しく頂けます。
又、生の桜えびは軍艦巻きにして寿司に食べても美味しいです。
生の他には塩茹でした釜揚げ、生のまま干し上げた素干し、塩茹でして干した煮干し、豆腐、ネギ、キノコなどと桜えびを鍋にした沖上がりなどがあります。
又、茶碗蒸し、お好み焼き、みそ汁などの調理法があります。
コメント
桜えびの歴史が知りたいんだよ!