岩手県の郷土料理「盛岡冷麺」とは
「盛岡冷麺」は小麦粉と片栗粉(じゃがいものでんぷん)で作られたコシの強い麺を牛肉や鶏肉で出汁をとったスープに入れて大根のキムチを加えた麺料理で、岩手県盛岡地方の郷土料理です。
麺は小麦粉とでんぷんを合わせて練られた生地に強い力を加えて穴から押し出して作る押し出し式の製法で作られており、半透明で透き通っていて表面はツルツルしてコシがあるのが特徴です。
キムチは白菜ではなく大根なので正確にはカクテキなのですが、白菜のキムチを入れても構いません。牛や鶏で出汁をとったコクのあるスープに辛いキムチが調和して美味となっています。
具材はキムチの他にきゅうり、ゆで卵、チャーシュー、牛すね肉、ねぎなどを入れますが、珍しいのはりんご、梨、スイカなどの果物を入れる事です。
「盛岡冷麺」の発祥・由来
「盛岡冷麺」は元々は朝鮮半島北東部の咸興(ハムフン)出身の青木輝人氏が盛岡で「食道園」という飲食店を開業した際に、故郷の冷麺を販売し始めたのがはじまりです。
当初は盛岡の人達の口に合わず売れませんでしたが、青木氏は盛岡の人達の嗜好に合うように改良を重ねて現在のような「盛岡冷麺」を生み出しました。
麺ははじめは平壌冷麺と同じくそば粉とでんぷんで作られていましたが、後に小麦粉とでんぷんを使って透明な乳白色の麺を作るようになりました。
その後もスープや辛味に改良を加えて、盛岡の名物料理として人気が高まるようになりました。
しかし、青木氏が作っていた冷麺はそれまでは故郷の「咸興(ハムフン)」の名前を使わずに「平壌冷麺」と呼ばれていました。
これは知名度の問題から「平壌」としていたのですが、本場の朝鮮半島の冷麺に改良を重ねて盛岡に定着した冷麺はもはや現地の郷土料理として親しまれていました。
その後、昭和61年に盛岡で開催された「にっぽん麺サミット」に冷麺が出品され、「盛岡冷麺」と名づけられるようになりました。
コメント