東美濃名物「栗きんとん」
岐阜県南東部の恵那地方、東美濃地方では栗を使った和菓子「栗きんとん」が名物です。
「栗きんとん」といえば一般的にはおせち料理に出る甘く粘り気のある餡で栗をからめた「栗金団」が思い浮かびますが、東美濃地方では「栗きんとん」といえば茹でたり蒸した栗をすり潰して砂糖を加えて茶巾で絞って栗の形にした和菓子「栗金飩(くりきんとん)」を指します。
季節のお菓子として栗の収穫が始まる9月から翌年の1月頃までしか製造販売されない限定商品です。
栗の風味としっとりとした食感は上品で高級感溢れる和菓子です。
「栗きんとん」の発祥と歴史
中山道の宿場町として栄えた中津川市や恵那市では昔から山栗が多く収穫され、栗を使った料理や菓子が作られてきました。
街道を通る旅人をもてなす為に、宿場では栗を茹でて布巾で絞ってお菓子として出したのが「栗きんとん」の始まりといわれています。
江戸時代後期になると俳諧が盛んになりお茶会の機会も増えて、それに応ずるようにお茶菓子として「栗きんとん」をはじめとする栗菓子が発展していきました。
茶会、宿場、家庭でも日常的に食べられていた「栗きんとん」ですが、明治時代中期になると商品化が進み、中津川、恵那の東美濃地方は栗菓子の専門店が軒を連ねるようになりました。
現在では東美濃地方には50軒以上の和菓子屋が立ち並び、各店工夫を凝らした栗菓子を提供しています。
JR中津川駅前には中津川は「栗きんとん発祥の地」とする石碑があり、毎年9月9日の重陽の節句には菓子組合などが中心となって祈願祭が行われ、「栗きんとん」の配布を行っています。
「栗きんとん」の作り方
「栗きんとん」の材料は栗と砂糖だけですが、作り方によって様々な味わいになります。
かつては東美濃地方に自生する山栗を使っていましたが、今では恵那栗を代表とする栗を栽培して栗料理や栗菓子に使用しています。
「栗きんとん」はまずは9月頃より収穫が始まる栗を渋皮が付いたまま茹でるか蒸した後に、包丁で真っ二つに切ってスプーンなどで中身をすくい出します。
そしてマッシャーや裏ごし器で裏ごしをしたら砂糖を加えて味を調えます。
どの位裏ごしするかは家庭や店により異なりますが、栗の食感をある程度残したいならほどほどに裏ごしする事になります。
次に味を調えながら弱火でゆっくり混ぜながら炊き上げます。
栗が手で触っても付かない程度になったら火を止めて、1個分の量を布巾に取って絞って形を整えれば出来上がりです。
コメント