秋田県湯沢地方の郷土料理 「稲庭うどん」 とは
「稲庭うどん」は手延べ製法で作る干しうどんで秋田県湯沢市稲庭地域の郷土料理です。
香川の讃岐うどん、名古屋のきしめんと並んで日本三大うどんの一つと呼ばれており、手延べ製法で作るツルツルとした滑らかな食感の中にもしっかりとした歯ごたえがある細麺の干しうどんです。
独特の食感と歯ごたえは手延べ製法と呼ばれる昔ながらの手作業から生まれており、手作業で生地を作ってから出荷するまで数日はかかる事から大量生産できず、うどんの中でも高級品として位置づけられています。
湯沢市の稲庭地区には「稲庭うどん」の製造業者が多数ありますが、「稲庭うどん」は元々は乾麺なので贈答用、お土産や通信販売で扱われる事が多く、現地では食べる事ができる店はあまり多くありません。
それでも万延元年(1860年)創業の「佐藤養助商店」や「寛文五年堂」、「本舗稲庭堂」など名店があります。
「稲庭うどん」の発祥・由来
「稲庭うどん」は江戸時代初期の1665年に稲庭吉左衛門が稲庭産の小麦粉を使って独特の製法で生み出したのが発祥といわれています。
それ以前にも小沢地区に住んでいた佐藤市兵衛が干しうどんや乾麺を作っていましたが、現在のような独特の「稲庭うどん」の製法を編み出したのは吉左衛門でした。
その独特の製法はうどんというよりそうめんに近く、山に囲まれた稲庭の名水、良質の小麦、そして塩だけで「練る」、「綯う(なう)」、「つぶす」、「伸ばす」といった工程を経て手作業で作られました。
独特の製法で作られた「稲庭うどん」は美味として人気を高め、生産量も少ない事から高級品として扱われるようになりました。
乾麺である事から贈答品としても使用され、稲庭城の領主に献上されるだけでなく、将軍家や他国の大名にも送られるほどになり、秋田藩の名産品として珍重されたのです。
そんな高級品として扱われた「稲庭うどん」は長らく庶民の口に入ることはなく、稲庭では一子相伝の家業として生産される細々としたものでした。
明治時代になって内国博覧会で賞をもらったり、宮内省へ献上するようになってからはようやく認知度も高まり、「稲庭うどん」を製造する業者も増えて地域の特産品として広く一般にも味わえるようになったのです。
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