大阪発祥の郷土料理
「箱寿司」は木製の箱を使って寿司飯と鯛、海老、穴子などの具材を乗せて押した押し寿司です。
天保12年(1841年)創業の吉野寿司の三代目吉野家寅蔵氏が1887年(明治20年)頃に高級志向の押し寿司を生み出しました。それまで木枠を使って押して作る「押し寿司」は存在していましたが、鯖、秋刀魚、鯵など大衆魚を使ったもので一般家庭でも作る事ができるものでした。その押し寿司を「寿司屋でしか食べられない寿司を作ろう」と吉野家寅蔵氏は鯛、海老、穴子などの高級素材を使って寿司飯にも工夫を凝らして手間暇をかけて生み出されたのが「箱寿司」です。
箱寿司の提供店
「箱寿司」は寿司飯や具材など材料の仕込みに少なくとも1日から2日必要で、大変な手間隙がかかる事から本場の大阪でも提供する店が少なくなっています。大阪では「箱寿司」を提供する店は大阪市中央区淡路町の「吉野寿司」と創業文政12年の心斎橋の「本福寿司」が有名です。寿司飯も冷めても美味しく持ち帰りもできるようにと米を厳選して工夫をしています。
箱寿司の作り方
「箱寿司」はまず寿司飯を専用の木枠の下に敷き詰め、刻んだ椎茸の煮物を乗せてから又寿司飯を重ねます。そして寿司飯の上に酢で締めた鯛、焼いて味付けした穴子、茹でた海老などを並べて押し固めます。十分押した後は箱から取り出して小さく切り分けていきます。
ちなみに「箱寿司」は小さく切り分ける事から別名「切り寿司」ともいわれています。寿司の上部は鯛、海老、穴子など鮮やかな色彩があり、大阪の「二寸六分の懐石料理」とも「寿司の芸術品」ともいわれています。
また、上部に具を敷き詰める際に隣の具に重ねる様が屋根を葺く「こけら板」に似ている事から「こけら寿司」とも呼ばれています。
「箱寿司」は「巻寿司」、「蒸しずし」、「散らしずし」、「バッテラ」、「雀ずし」などと同じ大阪寿司の一種なのですが、大阪寿司は「シャリに六分の味」といわれるほど寿司飯の味を重視しています。「箱寿司」で使われる寿司飯も品質や調理法に気を配っており、時間が経っても冷めても又寿司飯だけ食べても十分美味しくなっています。
コメント
わかりやすくてたすかりました