鹿児島県の郷土料理「鶏飯(けいはん)」とは
「鶏飯(けいはん)」はお椀に入れたご飯の上にほぐした鶏肉、椎茸、錦糸卵、パパイヤ漬けなどの具材と薬味をのせて鶏ガラで出汁をとったスープをかけた料理で、鹿児島県奄美大島地方の郷土料理です。
「鶏飯」というと一般的には鶏肉を入れた炊き込みご飯が思い浮かびますが、奄美大島の郷土料理である「鶏飯」は「とりめし」ではなく「けいはん」と呼び、スープをご飯にかける「お茶漬け」のような料理です。
鶏飯は鹿児島県内でも人気料理として一般的に食されており、鶏肉、椎茸、錦糸卵を入れるのはほぼ共通していますが、それ以外の具材は地域や作り手によって違います。
「パパイヤの漬物」や「島蜜柑の皮」を入れたりするのはやはり南国の奄美大島、そして鹿児島ならではといえます。
他には人参、高菜、紅しょうが、たくあんなどを入れることもあります。
「鶏飯(けいはん)」は具材の美味しさもさることながら、味のポイントとなるのはスープです。
「鶏飯」の名前らしく、スープは鶏ガラでじっくり出汁をとったものを使います。
鶏ガラスープの旨味とほぐした鶏肉の旨味が融合して深い味わいの鶏料理が生まれます。
スープをかけて食べるのでサラサラと食べやすく、一杯といわずに二杯も三杯も食べたくなる郷土料理です。
「鶏飯(けいはん)」の発祥と由来
「鶏飯(けいはん)」は今から約400年以上も前に薩摩藩が奄美諸島を支配していた頃に、現地の人達が薩摩の役人をもてなすために振舞った料理から生まれたといわれています。
当時はまだ薩摩が奄美を支配したばかりで役人の目も厳しく、奄美の人達は何とか役人の気持ちをほぐそうと豪華な料理でもてなしたそうです。
こうして貴重だった鶏を丸ごと使って鶏肉料理を作ったのが「鶏飯」のはじまりといわれていますが、当時の「鶏飯」は現在のような「茶漬け」スタイルではなく「炊き込みご飯」だったようです。
奄美や鹿児島県内では昔から各家庭で鶏を飼う習慣が根付いており、大事な客をもてなす時や正月、祝辞の際には大事な鶏を捌いて食べる文化があったのです。
戦後になってからは「炊き込みご飯」であった「鶏飯」が工夫されて、現在のような「茶漬け」スタイルの「鶏飯(けいはん)」になったようです。
「鶏飯」のレシピ・作り方
「鶏飯」の作り方はスープと具材を揃える事に分けられます。
まず、鶏ガラで十分に出汁をとったスープをつくります。調味料で味を調えますが、基本は鶏ガラの旨味がスープの美味しさを左右します。
次に鶏のムネ肉かささ身を蒸して細かくほぐします。
そして、椎茸は甘辛く煮て刻んでおき、錦糸卵を用意します。そして、奄美、鹿児島ならではの食材であるパパイヤの漬物や紅しょうがを用意します。
最後にお好みでねぎ、海苔、ごま、島蜜柑の皮、わさび、しょうがなどの薬味を用意します。
こうしてご飯、スープ、具材、薬味をすべて別々に用意し、お椀に盛られたご飯の上に具材、薬味をのせてスープを自分でかければ出来上がりです。
「鶏飯(けいはん)」の良い所は自分で盛り付けられるので、種類や量を自分好みにして食べられる事です。
ご飯を少なめにしたり、スープを多めにしたり、ある薬味は苦手だから入れなかったりと調節できます。
また、作り方は簡単なのでパパイヤの漬物といったものを除けば他のものは地元でなくても揃うので、自宅でも気軽に作る事ができます。
それでも本場の「鶏飯」が味わいたい方は通販でフリーズドライの商品も販売しているので、試してみるのも良いかと思います。
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