1. 安倍川もちとは？｜静岡の名物和菓子の魅力
安倍川もち（安倍川餅）は、静岡県を代表する素朴でやさしい味わいの和菓子です。つきたての餅や柔らかく戻した切り餅に、砂糖を加えたきな粉をまぶしたシンプルな一品で、古くから地元で親しまれてきました。使用される餅はもち米を蒸して搗いたもので、もちもちとした柔らかな食感が特徴です。
一口に「安倍川もち」といっても、バリエーションは複数存在します。もっとも一般的なのは、白い餅に甘いきな粉をたっぷりまぶしたものですが、こしあんや黒蜜を加えたアレンジも近年では広く見られるようになりました。特に観光地やお土産商品としては、きな粉とあんこの2種入りが定番スタイルとなっており、好みに応じて選べるのも魅力のひとつです。
「安倍川もち」の名は、静岡市を流れる「安倍川（あべかわ）」に由来します。名の通り、かつては安倍川のほとりにあった茶屋で振る舞われ、東海道を旅する人々に疲れを癒す甘味として重宝されました。その歴史の深さと、素朴ながら飽きのこない味わいにより、安倍川もちは今なお多くの人に愛され続けています。
今日では、静岡のサービスエリアや観光地、和菓子店をはじめ、都内や通販でも手軽に入手可能となり、静岡の「名物土産」として定着しています。温かい緑茶とともにいただく安倍川もちは、まさに日本の和菓子文化と郷土の味を今に伝える逸品といえるでしょう。
2. 安倍川もちの特徴と魅力
安倍川もちは、静岡県中部を代表する素朴な和菓子であり、400年以上にわたって地元の人々や旅人たちに親しまれてきた伝統の味です。その魅力は、見た目の美しさから味わいの奥深さ、そして文化的背景に至るまで多岐にわたります。
素材が引き立てる上品な味わい
安倍川もちの最大の特徴は、つきたてまたはやわらかくした餅に、砂糖を加えたきな粉をたっぷりまぶして仕上げる点にあります。もち米から作られる餅は、もっちりとした弾力と柔らかさを併せ持ち、噛むたびに口の中に豊かな甘みとコクが広がります。
使用されるきな粉には、国産大豆を炒って挽いたものが使われ、香ばしさとともに淡く黄金がかった色味が特徴です。そこに加える砂糖は、きな粉の風味を損なわず、ほんのりと優しい甘さを引き出します。この甘すぎない絶妙な味わいが、老若男女問わず愛される理由のひとつです。
さらに近年では、こしあんをまぶしたタイプや、抹茶きな粉、黒蜜がけといった多彩なアレンジも登場し、伝統の味に新しい魅力が加わっています。
素朴な美しさと歴史の重み
安倍川もちは、見た目にも素朴でありながら、どこか品のある佇まいを持ちます。丸く、ふっくらとした餅の姿は、食卓に並べるだけで季節感や温かみを感じさせてくれます。和菓子としての「目で味わう」楽しみも忘れてはなりません。
その背景には、江戸時代から続く長い歴史があります。伝説によれば、徳川家康が安倍川のほとりでこの餅を口にして「安倍川もち」と名付けたともいわれ、東海道を行き交う旅人たちの疲れを癒す甘味としても重宝されてきました。江戸時代の滑稽本『東海道中膝栗毛』にもその名が登場するなど、文学にも記録されるほどの知名度を誇っています。
現代の食卓にも自然に溶け込む郷土の味
安倍川もちは、学校給食に登場するほど静岡の人々に深く根付いた郷土菓子です。その魅力は、単なる「昔ながらのお菓子」にとどまりません。黒蜜やあんこを添えてアレンジを楽しんだり、抹茶や日本茶と一緒にいただいたりと、現代のライフスタイルに合わせた多彩な楽しみ方ができる点も高く評価されています。
また、家庭ごとに微妙に異なるきな粉や砂糖の配合、餅のサイズややわらかさなど、地域性や家庭の味が残されているのも、郷土料理としての大きな魅力です。さらに、静岡駅やサービスエリアなどでお土産として購入できることから、旅の思い出としての価値も持ち合わせています。
こうした特徴と魅力が組み合わさることで、安倍川もちは単なる和菓子を超えて、静岡を象徴する伝統文化のひとつとして今なお生き続けているのです。
3. 名前の由来と歴史｜安倍川との関係と家康伝説
安倍川もち（安倍川餅）は、その名の通り、静岡県静岡市を流れる安倍川に由来する和菓子です。素朴ながら奥深い味わいを持つこの餅は、約400年前の江戸時代初期・慶長年間（1600年代初頭）に誕生したと伝えられています。その誕生には、徳川家康と安倍川の地にまつわる興味深い逸話が残されています。
家康公が命名した「金粉餅」から「安倍川餅」へ
当時、徳川家康は晩年を駿府城（現在の静岡市）で過ごしており、安倍川の上流には幕府の御用金山（梅ヶ島・笹山金山）がありました。金の採掘が盛んだったこの地域は、駿府の政治・経済の拠点としても重要な地でした。
ある日、家康が安倍川のほとりを訪れた際、地元の茶店に立ち寄ります。そこで茶店の主人が、つきたての柔らかい餅に、砂金に見立てたきな粉をまぶした餅を献上しました。この餅は「金粉餅（きんこもち）」と名付けられており、その見た目と味に家康は大いに感動します。
その際、家康はこの餅に「安倍川餅」という名を与えたと伝えられています。地名を冠した命名は、家康の機知と、土地への深い愛着を象徴するエピソードとして今も語り継がれています。
元祖「五郎右衛門餅」と亀屋の伝承
また、安倍川餅の起源には「五郎右衛門餅」と呼ばれる伝統菓子の存在も関係しています。この餅は、静岡の丸子地区に伝わり、宮崎家という家系によって代々その製法が守られてきました。宮崎家は屋号を「亀屋」と称し、家康が命名した逸話を引き継いで安倍川餅を専門に製造してきたとされています。
かつては参勤交代で東海道を通る諸侯たちも、この「亀屋」に立ち寄り安倍川餅を味わったともいわれており、江戸と駿府を結ぶ東海道の歴史の中でも、安倍川餅は旅の楽しみのひとつとなっていたのです。
文献にも登場する名物餅
安倍川餅は、江戸時代のベストセラー滑稽本『東海道中膝栗毛』（十返舎一九 作）にも登場します。このことからも、当時の旅人や庶民にとって、安倍川餅がよく知られた名物であったことがうかがえます。特に府中宿（現在の静岡市中心部）では、名物土産として多くの茶店で販売され、東海道五十三次の味覚のひとつとして親しまれてきました。
このように安倍川餅は、単なる甘い餅菓子ではなく、徳川家康との逸話や東海道文化との深い関わりを持つ、静岡ならではの郷土和菓子として長く受け継がれています。その名の背後には、土地の自然、産業、文化、そして歴史の物語が詰まっているのです。
4. 材料と作り方｜家庭で作れる安倍川もちレシピ
安倍川もちは、シンプルな材料で気軽に楽しめる和菓子として、家庭でも簡単に再現することができます。特別な道具は必要なく、市販の切り餅を活用することで、静岡の郷土の味を手軽に味わうことが可能です。ここでは、2人分を目安とした基本のレシピをご紹介します。
基本の材料（2人分）
- 切り餅：3個（2個でも可。横に半分に切っても、そのままでもOK）
- きな粉：大さじ2〜4（好みに応じて）
- 砂糖：大さじ1〜1と1/2（お好みで甘さを調整）
- 塩：ひとつまみ
- （お好みで）あんこ、黒蜜、醤油などのトッピング
※きな粉は、国産大豆を使った香り豊かなものを選ぶとより本格的な風味が楽しめます。
作り方の手順
1．餅の準備
切り餅は調理しやすいように横半分に切る（形を変えずにそのままでもOK）。
2．きな粉を調合する
ボウルにきな粉・砂糖・塩を入れてよく混ぜ合わせておく。
3．餅をゆでる
鍋にたっぷりの水を沸騰させ、切り餅を入れて中火で約5分、やわらかくなるまで加熱。
※餅同士がくっつかないように軽く箸で動かすのがコツ。
4．水気を切ってきな粉にまぶす
やわらかくなった餅を取り出し、しっかり水を切ってからきな粉の入ったボウルに移し、全体にきな粉がまんべんなくまぶさるように和える。
5．仕上げと盛り付け
器に盛り付け、黒蜜やあんこを添える、あるいは醤油を少量垂らして風味を変化させるのもおすすめです。
調理のポイントとアレンジ
- 電子レンジで加熱する場合は、耐熱容器に餅と水を入れ、ラップをかけて600Wで1〜2分加熱すればOK。
- トースターで軽く焼いた後に湯にくぐらせると、外は香ばしく、中はもっちりとした食感が楽しめます。
- きな粉の砂糖の割合はお好みで調整でき、甘さ控えめにすれば大人向けの味わいに。
このように安倍川もちは、素材の持ち味を生かしたシンプルな和菓子でありながら、工夫次第で多彩な楽しみ方が可能な家庭料理です。特に寒い季節には、温かいお茶とともに楽しめば、心までほっと温まるひとときとなるでしょう。
5. 食べ方と楽しみ方のバリエーション
安倍川もちは、シンプルな材料と調理法で作られる和菓子でありながら、食べ方やアレンジの自由度が高く、さまざまな楽しみ方ができるのが大きな魅力です。基本のスタイルはもちろん、ちょっとした工夫で日々の和スイーツとして幅広く活用できます。
定番の食べ方｜きな粉をたっぷりまぶして
もっとも一般的な食べ方は、温かい餅に砂糖を加えたきな粉をたっぷりまぶしてそのままいただくスタイルです。餅の柔らかさときな粉の香ばしさ、そして控えめな甘さが絶妙に調和し、口の中で素朴な風味が広がります。調理方法は、ゆでる・焼く・電子レンジなど好みに応じて選べますが、できたての柔らかさを逃さないうちに食べるのが最も美味しいとされています。
人気のアレンジ例
■ 黒蜜をかける
きな粉の上から黒蜜をかけるとコクのある深い甘さが加わり、まるで信玄餅のような味わいに。市販の安倍川もちには黒蜜が別添されていることも多く、自分好みの甘さに調整できるのも魅力です。
■ あんこを添える
こしあんやつぶあんを添えると、より本格的な和菓子の味わいに変化します。きな粉との相性も抜群で、お茶うけとしてもぴったりの組み合わせです。
■ 醤油で味変
甘いだけでは物足りないという方には、きな粉にほんの少し醤油を加える“甘じょっぱい”アレンジもおすすめ。特に焼いた餅にこの組み合わせを試すと、香ばしさが引き立ちます。
■ 焼き餅アレンジ
トースターなどで餅を軽く焼いてからきな粉をまぶすと、外は香ばしく中はもちっとした食感になり、満足度の高い一品に。香ばしさを楽しみたい方にぴったりのアレンジです。
■ お茶との組み合わせ
緑茶や抹茶などと合わせることで、和の風情をより一層感じられる時間に。素材の味を引き立てるお茶との相性も抜群です。
■ スイーツとしてのアレンジ
残った安倍川もちを、アイスクリームやパフェのトッピング、白玉団子の代用として使用するのもおすすめ。和洋をミックスさせた新しい楽しみ方として人気を集めています。
食べ方のコツ
- きな粉や砂糖の配合は好みで調整でき、自分だけの“黄金比”を見つける楽しさも。
- 餅はやわらかいうちに食べることで、口溶けの良さと風味を最大限に楽しめます。
- 市販品では、黒蜜やあんが別添えになっているものもあり、食べる直前に好みのトッピングでカスタマイズするのも◎。
このように、安倍川もちはそのままでも、アレンジしても楽しめる懐の深い和菓子です。伝統的な味わいと現代的な感性を融合させながら、自分だけの“安倍川もち”を見つけるのも一興といえるでしょう。
6. 静岡の老舗・名店紹介
安倍川もちは静岡を代表する郷土の和菓子として、古くから続く老舗や専門店によって受け継がれてきました。徳川家康との由縁や東海道の歴史とともに、餅の柔らかさやきな粉の香ばしさを守り続ける店々は、観光客にも地元民にも愛されています。ここでは、静岡で安倍川もちを味わうことのできる名店・老舗をご紹介します。
石部屋（せきべや）｜200年以上の歴史を誇る安倍川もちの原点
文化元年（1804年）創業という200年以上の歴史を誇る老舗。静岡市葵区弥勒、安倍川橋のたもとに佇むこの店は、「徳川家康が命名した」とされる安倍川もちの伝統を現代に伝える唯一の現存茶店です。
名物は、つきたてのもち米100%の餅を使用した出来立ての安倍川餅とからみ餅（あんこ）。注文ごとに餅をつき、きな粉やあんこをまぶすため、柔らかく香り高い風味がそのまま楽しめます。
店内には歴史を感じさせる古写真や芸能人のサインが飾られ、タイムスリップしたかのような茶店の風情が漂います。
かごや｜旧東海道沿いの情緒ある人気店
静岡市葵区弥勒の旧東海道沿いにある「かごや」も、安倍川もちの名店のひとつ。地元の人々はもちろん、観光客や芸能人にも親しまれている店です。
メディアにもたびたび登場し、昔ながらの手づくり餅の味わいを大切にしています。安倍川橋からも近く、石部屋と並んで立ち寄りやすい立地も魅力です。
やまだいち｜土産としての安倍川もちを全国へ広めた老舗ブランド
「やまだいち」は、東海道中膝栗毛にもその名が登場するほどの伝統ある安倍川もちの専門メーカー。静岡駅ビルのパルシェや食彩館など、アクセスの良い場所に実店舗を展開しています。
特徴は、食べやすい切り餅タイプと個包装されたパッケージ。お土産としての利便性も高く、静岡県外の百貨店や大手通販サイトでも取り扱いがあることから、全国的な認知度を持つブランドです。
400年以上の歴史を礎に、現代にマッチしたスタイルで安倍川もちの魅力を発信しています。
松柏堂本店｜上質な素材にこだわる和菓子の名門
1867年創業の「松柏堂本店」は、静岡市の和菓子界で名の知れた老舗。静岡駅構内パルシェに店舗があり、手軽に購入できるミニパックの安倍川もちが特に人気です。
国産素材にこだわり、伝統の製法を守りながらも現代的なアレンジを加えた商品展開で、観光土産としてだけでなく、日常の和菓子としての利用にも適した上質な一品を提供しています。
その他の名店・関連情報
- 登呂もちの家：やまだいちの系列店舗で、地元密着型の販売を行う。
- 橋本屋（現在は閉業）：かつて安倍川餅の名店として知られた老舗で、地元では今も記憶に残る存在。
これらの店々は、静岡駅周辺や安倍川沿いに点在しており、観光の際にも気軽に立ち寄れるのが嬉しいポイントです。中でも、つきたてを提供する石部屋のような店舗では、まさに“本物の安倍川もち”をその場で味わえる贅沢な体験ができるため、訪問時はぜひ出来立てを味わってみてください。
7. 通販・お土産としての人気
安倍川もちは、静岡県内での観光や帰省時に楽しむだけでなく、オンライン通販や土産物店でも手軽に購入できる静岡名物として、多くの人に親しまれています。特に、老舗の味を家庭で味わえることから、ギフトや手土産としての需要も年々高まっています。
静岡土産の定番として根強い人気
安倍川もちは、静岡駅周辺の駅ビル「パルシェ」やサービスエリア、観光施設などで広く取り扱われています。個包装の商品も多く、移動中や帰宅後にも食べやすく、お土産として配るのにも便利です。
特に、「やまだいち」や「松柏堂本店」といった名店の商品は、品質の高さと素材へのこだわりから、静岡土産の定番として地元でも長く愛されています。
通販で味わう本場の安倍川もち
近年では、老舗の味を全国に届けるためにオンライン通販の展開が広がっており、自宅にいながら本格的な安倍川もちを楽しむことができます。
■ やまだいちの安倍川もち
- 内容： きな粉味とこしあん味の2種類入り
- 素材： 契約栽培の佐賀県産餅米、国産大豆のきな粉、北海道産小豆のこしあん
- 特徴： 保存料・着色料不使用、上品な甘さと柔らかさが特徴。ギフトにも最適。
■ 松柏堂本店のあべかわもち
- 創業1867年の老舗が提供する伝統の味。
- 国産素材にこだわり、通販でも丁寧な包装と品質管理を徹底。
- オンラインストアで簡単に購入でき、静岡土産としても人気を集めています。
■ Amazon・楽天市場など大手通販サイトでの購入
- やまだいちや他メーカーの安倍川もちが多数出品。
- 保存料・添加物無添加の商品や、数パック入りのファミリー向けセットなどバリエーション豊富。
- ギフト包装やレビュー評価も確認しやすく、初めての購入でも安心。
お取り寄せの際のポイント
- 賞味期限はおおむね5～10日程度が多く、贈答用の場合は到着日を考慮して注文するのが安心です。
- 通販サイトによっては送料や配送条件、包装形式が異なるため、用途に応じて選ぶのがポイント。
- 特に夏場や年末年始などの繁忙期は、早めの注文がおすすめです。
このように安倍川もちは、静岡の伝統を気軽に味わえる逸品として、地域内外の人々に広く受け入れられています。旅の記憶を呼び起こす懐かしい味としても、和の贈り物としても喜ばれる存在であり、日常の中で“ちょっと特別なひととき”を演出してくれる和菓子です。
8. 他地域との類似品と違い
安倍川もちは、もち米を使った柔らかい餅に砂糖入りのきな粉をまぶすというシンプルな構成でありながら、静岡県の風土と歴史に根ざした独自の存在感を放つ郷土和菓子です。日本各地には似たような餅菓子が存在しますが、それぞれに使用される材料、食感、味付け、食文化的背景に違いがあります。ここでは、代表的な類似品と安倍川もちとの違いを比較して紹介します。
他地域の類似品との比較
| 菓子名 | 地域 | 特徴・材料 | 安倍川餅との主な違い |
|---|---|---|---|
| 安倍川餅 | 静岡県 | もち米の餅に砂糖入りきな粉をまぶす。黒蜜やあんこを添えることも。 | 徳川家康命名の由来を持ち、やわらかくもちもちとした食感と、砂糖入りきな粉が特徴。 |
| 信玄餅 | 山梨県 | 小さな餅にたっぷりのきな粉と黒蜜をかけて食べる。個包装・桔梗屋が有名。 | 黒蜜が必須で、包装が特徴的。安倍川餅は黒蜜なしでも成り立つ味わいが基本。 |
| わらび餅 | 関西など | わらび粉や葛粉を使用し、ぷるぷるとした食感。きな粉をかけて食べる。 | 原料が餅米ではなく食感も全く異なる。安倍川餅は米のもち特有の弾力と重みがある。 |
| きなこ餅 | 全国各地 | 餅にきな粉をまぶした一般的な家庭のおやつ。砂糖の有無は地域差あり。 | 安倍川餅は砂糖入りきな粉が基本で、歴史的背景や地名由来の名称を持つ点が異なる。 |
| 福井の餅菓子 | 福井県 | きな粉餅などが存在。餅はやや硬めで保存性を意識した仕様も多い。 | 安倍川餅は柔らかさを重視し、保存よりも食感と風味のよさを重視している。 |
安倍川餅ならではの特徴
- 徳川家康が命名したという由緒と、静岡・安倍川という地名に由来する明確な背景を持ち、単なる餅菓子以上の物語性を備えています。
- 砂糖入りきな粉をまぶすのが標準スタイルであり、黒蜜やあんこは好みによって添える“オプション”です。この点が信玄餅などの“黒蜜ありき”の餅菓子との明確な違いです。
- 柔らかく搗きたての餅の食感を大切にしており、弾力と口どけの良さを兼ね備えた食感が楽しめます。
- 保存や包装よりも出来立てのおいしさに価値を置く文化があり、店舗では注文後に餅を搗く店も存在します。
このように、安倍川もちは全国に存在するきな粉餅類と一線を画す、静岡の風土・歴史・文化と結びついた郷土菓子です。素材のシンプルさに加えて、地名・伝承・製法へのこだわりが、安倍川もちを特別な存在にしています。
「もち×きな粉」という和菓子の基本形において、静岡らしさを体現した完成形が、まさに安倍川もちなのです。
9. 英語で紹介する安倍川もち｜外国人観光客にも伝えたい和菓子の魅力
安倍川もちは、その素朴でやさしい味わいに加えて、400年以上の歴史と文化的背景を持つ静岡県の伝統和菓子です。インバウンド観光の広がりとともに、英語での情報提供や紹介の重要性も高まっています。ここでは、訪日外国人や英語話者に向けて「安倍川もち」を伝える際のポイントや表現をまとめます。
基本の紹介文（英語）
Abekawa mochi is a traditional Japanese sweet from Shizuoka Prefecture, consisting of soft, freshly pounded or steamed mochi (rice cakes) coated with sweetened kinako—roasted soybean flour mixed with sugar. This simple yet elegant combination offers a chewy texture and a nutty, subtly sweet flavor.
歴史と由来の英語説明
The name “Abekawa mochi” comes from the Abe River (Abekawa) in Shizuoka. According to legend, Tokugawa Ieyasu, the founder of the Tokugawa shogunate, named this delicacy during the Edo period after tasting mochi covered in golden kinako, which resembled the gold dust mined upstream in the Abe River area.
Since then, it has become a local specialty loved by travelers along the historic Tokaido road and remains cherished by locals for over 400 years.
特徴や味わいを伝えるフレーズ
- A soft and chewy rice cake coated with sweet soybean flour
- A traditional wagashi (Japanese confection) enjoyed with green tea
- Often served plain, or with black syrup (kuromitsu) or red bean paste (anko)
- A souvenir sweet from Shizuoka, representing regional culinary heritage
- A snack that offers a simple yet refined taste experience
海外向けの魅力的な紹介例（要約）
“Abekawa mochi offers an authentic taste of traditional Japanese sweets. With its roots in samurai history and its elegant simplicity, this chewy, nutty-flavored treat is a symbol of regional pride in Shizuoka.”
安倍川もちは、歴史と風土を味わう「体験型の和菓子」として英語圏でも紹介しやすく、海外からの観光客にも強い印象を残す和スイーツです。特に、Tokugawa Ieyasu（徳川家康）、Abe River（安倍川）、Tokaido Road（東海道）などの文化的なキーワードを織り交ぜることで、より記憶に残る紹介が可能になります。
このように、安倍川もちは英語圏の人々にも伝えやすいストーリーと風味を併せ持つ郷土菓子です。観光案内や土産物販売、和菓子教室などの場面で、ぜひこの英語表現を活用して、静岡ならではの和の魅力を広く届けていきましょう。
10. まとめ｜素朴で愛され続ける静岡の郷土菓子
安倍川もちは、静岡県を代表する素朴でありながら奥深い味わいを持つ和菓子です。つきたてのやわらかな餅に、香ばしい砂糖入りきな粉をまぶすというシンプルな構成ながら、江戸時代から続く400年以上の歴史と文化的な背景を持つ郷土料理でもあります。
徳川家康が命名したとされる伝説や、東海道の旅人たちの間で親しまれてきた経緯は、安倍川もちを単なる甘味としてではなく、地域の歴史や風土を味わう一品へと高めています。現在でも、石部屋をはじめとした老舗の茶店では出来立ての餅が提供され、地元民から観光客まで多くの人々に愛され続けています。
また、あんこや黒蜜、醤油などのバリエーションを加えることで、多様な味の変化も楽しむことができ、現代のライフスタイルや嗜好にも柔軟に対応しています。さらに、お土産や通販商品としての展開も充実しており、家庭で気軽に静岡の味を楽しむことが可能です。
安倍川もちは、「もち×きな粉」という日本人にとって親しみ深い組み合わせに、静岡の歴史・自然・技が融合した、まさに郷土の誇りを象徴する和菓子といえるでしょう。これからも、世代や国境を越えて、多くの人々にその魅力が伝わっていくことが期待されます。
参考文献一覧
- 農林水産省「うちの郷土料理：安倍川もち」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_18_shizuoka.html - やまだいち公式サイト
https://www.abekawamochi.co.jp/ - 松柏堂本店 オンラインストア
https://shohakudo.stores.jp/ - ふじのくに食の都づくり仕事人「安倍川もち」
https://fujinokuni.shokunomiyako-shizuoka.pref.shizuoka.jp/culture/article/1789 - Delish Kitchen「安倍川もちの作り方」
https://delishkitchen.tv/articles/2102 - 家庭画報「石部屋｜安倍川餅の老舗」
https://www.kateigaho.com/article/detail/166147 - Surugawan.net「安倍川もち特集」
https://www.surugawan.net/eat/abekawa-mochi.html - 金目鯛と静岡の食文化に関する記事
https://gold-road.jp/news/28 - Shizuoka Tokaido Guide「安倍川と名物菓子」
https://shizuoka.tokaido-guide.jp/location/130 - Food in Japan – “Abekawa Mochi”
https://www.foodinjapan.org/chubu/shizuoka-chubu/abekawa-mochi/ - Japanese Products Blog – “Abekawa Mochi”
https://japanese-products.blog/2020/05/22/abekawa-mochi/ - Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries (MAFF) – Traditional Dishes (English)
https://www.maff.go.jp/e/policies/market/k_ryouri/search_menu/4397/index.html - 大吉餅店（Abekawa Mochi EN Page）
https://daikichimochi.com/abekawamochi/en/
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