宍道湖名産のしじみ汁
「しじみ汁」は砂抜きしたしじみを醤油や味噌で味付けした汁物で島根県の郷土料理です。
宍道湖(しんじこ)のしじみは全国的に有名で、全国のしじみ漁獲量の3割以上を占めています。
日本に生息するしじみは宍戸湖の「大和しじみ」、琵琶湖の「せたしじみ」、淡水で育つ「真しじみ」の3種類があります。
全国のしじみ漁獲量は島根県が長年1位を守り続けてきましたが、近年は宍道湖のしじみの資源減少の影響があって青森県に抜かれています。
しかしながら、宍道湖のしじみは昔から品質、味が良い事で知られており、しじみといえば宍道湖産のしじみが知名度を確立しています。
宍戸湖は島根県東北部の松江市、出雲市に跨る湖で、周囲約47km、面積約79平方km、平均水深4.5mの汽水湖です。
汽水湖とは淡水(真水)と海水が混じり合った湖で、宍道湖は斐伊川から流れる淡水と日本海より境水道、中海を経て流れ込む海水が混じっています。
淡水と海水が混じる事で塩分濃度は0.3~1.0%程度となり、海水の3.3%と比べて10分の1から3分の1程度になります。
河川でも海中でもない汽水湖で育った宍道湖の大和しじみは柔らかくて味が濃くてダシが良く出ます。
宍道湖のしじみ漁
宍道湖では早朝から漁師が小船を出して「鋤簾(じょれん)」と呼ばれる先端に網籠の様なものが付いた長い棒で海底を掻くようにしてしじみを獲ります。
一斉に漁師がしじみを獲りに舟を出す様子は昔からの宍道湖の名物風景となっています。
「鋤簾」の網には一定の目の大きさがあり、あまりに小さなしじみは資源保護の為にも獲る事ができなくなっています。
また、水揚げできる量にも制限があり、減少し続けているしじみを守り続けています。
しじみの砂抜き方法
「しじみ汁」を作る上で大事なのは必ず砂抜きすることです。しじみは海中で海底を移動して生息しているので身の中に砂を含んでいます。食べる時には砂抜きをしないと口に含んだ時にゴリゴリと砂を噛む事になり、せっかくの美味しいしじみ汁が台無しになってしまいます。
砂抜きをするには海水で浸けるのが一番ですが、家庭の台所では難しいでしょうから水道水に食塩を入れて砂抜きします。食塩の目安は1リットルの水に10gの食塩で1%の塩分濃度にします。海水の塩分濃度は約3.3%ですから、しじみが育つ汽水湖の塩分濃度に近い1%というわけです。
もし食塩水ではなく真水に浸けてしまうと、白く濁って浸透圧の関係でしじみの旨味成分が水の中に抜け出てしまいますので注意が必要です。
さらに、食塩水につける場合は水の底に浸けるのではなく、しじみをざるなど網目のものに入れて水面ギリギリに浮かして吐いた砂を吸わない様にすると共に、しじみが窒息してしまわない様に気をつけなければなりません。
コメント