卓袱料理

長崎県の郷土料理

「卓袱(しっぽく)料理」は和食、洋食、中華料理が融合した国際色豊かなコース料理で、大きな円卓に多くの料理を並べる長崎県の郷土料理です。別名「和華蘭(わからん)料理」とも呼ばれ、長い歴史の中で異国の影響を受け続けてきた国際都市「長崎」だからこそ生まれた料理ともいえます。「卓袱料理」は一つの大きなテーブル、円卓に大皿を並べて大勢で各自が取り分けて食べるのですが、同じ形式の料理は中華料理にあり、「卓袱料理」の基本は中華料理にあります。中華料理のように大きなテーブルに料理をのせた大皿を並べて、料理にはポルトガルやオランダ(蘭)など西洋の洋食、そして日本の伝統の和食文化を取り入れたのが「卓袱料理」というわけです。現在は長崎では結婚披露宴などの冠婚葬祭によく登場する料理となっています。

 

「卓袱料理」の由来

「卓袱料理」は日本ではとりわけ異国との接触が多かった長崎で、中国、オランダ、ポルトガルなど異国の料理を日本料理と融合して生み出した長崎独特の料理です。一つの大きな円卓を囲んで大皿に盛られた料理を取り分けるという基本的な食事様式は中華料理に似ており、中国の影響を色濃く受けている事が窺えますが、中華だけではない西洋や日本の影響も垣間見る事ができます。「卓袱料理」が誕生したのは中国人が長崎に貿易目的で来て逗留する様になった江戸時代初期の17世紀といわれています。17世紀初頭に長崎を訪れる様になった中国人は江戸幕府が寛永十年(1633年)に鎖国令を出し、元禄二年(1689年)に長崎に唐人屋敷ができるまでの間に長崎各地に在住し、現地で中国料理を紹介するきっかけになったと思われます。その時の中国料理に触れた長崎人はそれまで交流のあったオランダやポルトガルの料理と組み合せ、和食の要素も取り入れて「卓袱料理」を生み出したのです。「卓袱」の「卓」はテーブル、「袱」はテーブルクロスを指しており、現在の「卓袱料理」ではテーブルクロスは敷きませんが、テーブルである朱塗りの円卓は使われ続けています。

 

「卓袱料理」の内容

「卓袱料理」といっても一つの料理を指すのではなく、複数の料理から構成されるコース料理を総称しています。コース料理とはいっても必ずしも順番に料理が出てくるわけではなく、食べる順番や食べ方が決まっているわけではありません。但し、店によっては一度に全ての料理を配膳できない場合もありますし、料理が冷めてしまう事もあるので、順番に出される事もあります。とはいえ、昔から円卓では上座も下座もなく、皆が好きな様に自分が食べたい料理を取り分けて食べる事ができるのが「卓袱料理」の魅力の一つです。料理の内容も必ずしも厳格な基準はありませんが、全ての料理を食べる前に必ず皆に提供されるのが「尾鰭」と呼ばれる吸い物です。「尾鰭(おひれ)」とは鯛の身が入った吸い物の事で、「お客様一人一人に鯛を使いました」というもてなしの意味が込められています。「卓袱料理」を食べる前には「お鰭をどうぞ」という掛け声で「尾鰭」を食した後に、他の料理を食べるのが作法となっています。「尾鰭」の他には刺身、豚の角煮、天ぷら、水菓子、汁粉などが盛られる事が多いです。中でも豚の角煮は「卓袱料理」の代表的料理で「東坡煮(とうばに)」と呼ばれ、豚の三枚バラ肉を煮込んだ柔らかくて旨味たっぷりの味わいです。

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