ふな寿司

滋賀県の郷土料理

「ふなずし」は塩漬けした鮒(ふな)をご飯と一緒に漬け込んで発酵させた保存食で、滋賀県の郷土料理です。琵琶湖の固有種である「ニゴロブナ」を使用して半年から長いもので2年近くかけて作ります。オス、メス両方とも使用されますが、メスの方が大きくて特に子持ちのメスは高価で美味とされています。「ふなずし」はチーズやキムチの様に乳酸発酵させて作られる食品で、元々は大量に獲れた鮒を保存する方法として生まれました。発酵食品独特の臭いから敬遠される事もありますが、熟成された旨味があり、地元の郷土料理として根強い人気を誇っています。昔は家庭の一般的料理として各家庭でもつくられており、正月料理、結婚式、法事、祭事に振る舞われていました。近年は材料となるニゴロブナの数が激減して価格が高騰し、又手間隙もかかる事から、家庭で作られる事も少なくなりましたが、地元の郷土料理として親しまれています。


鮒寿司 / Yasuo Kida

 

「ふな寿し」の歴史

「ふな寿司」の歴史は水田稲作農業の技術が大陸から伝わった千年以上前の時代に遡ります。はっきりとした年代は定かではありませんが、ご飯を自然発酵させて作る「ふな寿司」は米を栽培する稲作農業が生まれた地である東南アジアの山岳地帯から中国雲南省付近から伝わった「なれずし」の技術を使用したものです。タイとラオスの国境付近には現在でも淡水魚と米と塩を使用した発酵食品である「プラーソム」と呼ばれる「なれずし」があります。平安時代に編纂された古代法典の「延喜式」には「ふな寿司」が近江国筑摩厨房、現在の滋賀県米原市から朝廷に貢物として献上された記述があり、琵琶湖の鮒と江州米を使って既に「ふな寿司」が作られていたようです。


鮒ずしというのを買ってみた。 / zenjiro

 

寿司のルーツは「熟れずし」

「ふな寿司」は寿司のルーツともいわれる「熟れずし」の一種で、現在の握り寿司や巻き寿司も「熟れ寿司」の流れを汲むものです。「熟れ寿司」は乳酸菌の発酵でご飯に酸味をつけていますが、現在の寿司は酢で酸味をつけています。乳酸菌で発酵させる「熟れ寿司」は手間も時間もかかる事から、次第に現在の様な江戸前の握り寿司が主流になっていったと考えられています。しかしながら、元々の寿司はご飯を発酵させて作る保存食としての寿司だったのです。

 

「ふな寿司」の食べ方


鮒寿司(お茶漬け) funa-zushi / puffyjet

「ふな寿司」は切身にしてそのまま食べます。身の周りについたペースト状のご飯は取り除いて食べるのが普通ですが、一緒に食べる場合も多いです。販売しているものを購入した場合は既にペースト状のご飯は取り除かれていますが、自分で樽に漬けているような場合は洗わずに周りについたご飯も一緒に食べることもできますし、料亭などではご飯も一緒に出される事もあります。そのまま食べるだけでなく、お茶漬けにして食べるのもオススメです。「ふな寿司」の切身を2、3個ご飯にのせて、好みでネギやワサビを加えて熱いお茶を注げば、酸味の効いた切身が美味しさを演出します。

 

「ふなずし」の作り方

「ふなずし」は鮒を塩漬けしてからご飯で本漬けして発酵させて作ります。まず、春に卵を持つ雌のニゴロブナのエラ、鱗、内臓を丁寧に取り除きます。鱗をしっかり取らないと食べる時につかえてしまうので、念入りに取ります。次に、ニゴロブナをしっかりと水洗いしてから内臓の部分に塩を詰めます。塩を詰めたら鮒を樽に敷き詰めて、鮒、塩、鮒の順に重ねて最後に重石をします。塩漬けして2、3ヶ月して夏になったら、塩漬けされた鮒を取り出し、よく洗って水に浸けて塩出しをします。十分に塩出しして水気を切ったら、いよいよ本漬けです。ご飯を炊いてから十分に冷まして、塩、ご飯を内臓に詰め込み、樽に敷き詰めて鮒の上にご飯を被せて又鮒を乗せるといった具合で、最後に重石をして漬けます。数ヶ月後、冬になれば熟成された「ふなずし」が出来上がります。大きい鮒は更にここから1年熟成させる事もあり、2年近くもかけて作る場合もあります。

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