兵庫県の郷土料理
「いかなごのくぎ煮」はスズキ目イカナゴ科魚類の「いかなご(玉筋魚)」の新子(稚魚)を醤油、砂糖、みりん、生姜などで甘辛く煮込んだ佃煮で、兵庫県の郷土料理です。
毎年2月下旬頃になると「いかなご」の新子漁が解禁され、船曳網漁業の船団が一斉に漁に繰り出します。例年漁解禁から1ヶ月ほど漁が行われますが、地元の売場では新鮮な「いかなご」の新子が並んで賑わいます。
地元では今でも各家庭で「いかなごのくぎ煮」を作っており、いたる所で「いかなご」を煮る香りが漂ってきます。「いかなご」を煮る香りが漂ってくると春が訪れたといわれており、兵庫県の風物詩となっています。
「いかなご」の分布
「いかなご」自体は全国で水揚げされていますが、瀬戸内海沿岸は良質な「いかなご」が獲れる漁場で知られており、兵庫県淡路島や沿岸地域の阪神、播磨地域では郷土料理の「くぎ煮」として広く普及しています。
「いかなご」は地方により呼び方が異なりますが、兵庫では稚魚は「新子」、成魚を「古背」と呼びます。また、関東では「いかなご」を「小女子(コウナゴ)」、宮城では「女郎人(メロウド)」、九州では「カナギ」と呼ばれています。
「いかなご」の名前の由来
「いかなご」は「いかなる魚の子なりや」という意味が名前の由来です。カマスに似ていて区別がつきにくい事から、「いかが(如何)」、「いかなる(如何なる)」、「魚(な)」の「子(ご)」なのかという意味で「いかなご」と呼んだそうです。「いかなご」は水温が高くなる夏には砂に潜って休眠する習性がある事から、その生態が不明な点を指して「いかなる魚なのか」という意味合いがあります。
また、漢字では「玉筋魚」と書きますが、「玉」の様に群れて「筋」の様な形の「魚」であるという意味で使われています。又、英名では「sand lance」と呼び、「砂の槍」という意味です。
「くぎ煮」の由来
「いかなごのくぎ煮」がなぜ「くぎ煮」と呼ばれるのかは、佃煮にした「いかなご」の身が折れ曲がった様子が錆びた古釘に似ているからです。「くぎ煮」の発祥は諸説ありますが、まずは神戸市垂水区のジェームス山異人館街に「いかなご発祥の地」の石碑があります。さらに神戸市長田区の駒林神社にも同様の石碑があります。また、神戸市長田区の網元が「いかなご」を醤油と砂糖で煮たのが「くぎ煮」のはじまりともいわれています。
「くぎ煮」の作り方
「いかなごのくぎ煮」はまずは「いかなご」を手に入れなければなりません。毎年「いかなご新子漁」が解禁になると地元の鮮魚店やスーパーで「いかなご」の「新子」が並びますが、できるだけ鮮度の良いものを入手する必要があります。
地元では大鍋で大量の「いかなご」を醤油、みりん、砂糖、生姜などで水分がなくなるまで煮詰めます。タレがなくなるまで煮るのですが、焦げ付かない様に火加減を調節しながら慎重にしなければなりません。
タレには醤油、みりん、生姜、砂糖を使いますが、他にも柔らかくするために酒を使ったり、保存性を高めるために水飴を加える事もあります。尚、煮詰めているときはかき混ぜると身が崩れてしまうので、鍋全体を振るなどして焦げ付かない様に気をつけます。
コメント
>>神戸市垂水区のジェームス山異人館街に「いかなご発祥の地」の石碑があります。
石碑があるのは2号線沿いの漁師町で、異人館街ではありませんよ!
しかも釘煮発祥の地は垂水漁港と駒ヶ林の長田港です。塩屋は地元が勝手に言ってるだけです。