長崎県の郷土料理
「具雑煮」は丸餅、肉、魚、野菜などの具材をふんだんに入れた具沢山の雑煮で、長崎県島原地方の郷土料理です。
「具雑煮」と呼ばれる通り具がたっぷり入った雑煮で、十種類以上の具材が入っているのが通常です。
雑煮ですから餅は欠かせぬ具材ですが、その他はこれといった決まりはなくその時期の海の幸山の幸を盛り込んだ賑やかな雑煮となっています。
一例では餅の他に鶏肉、鰤、鯛、かまぼこ、ちくわ、穴子、玉子焼き、里芋、椎茸、ごぼう、春菊、高野豆腐、蓮根、こんにゃく、昆布、白菜などがあります。
白菜は一般的な白菜とは異なり、中国山東省由来の「唐人菜」とも呼ばれる「長崎白菜」を使う事が多いです。
「具雑煮」は正月料理としてはもちろん、様々な祝い事やイベントで出されます。現在では特別な日に限らず通年提供される郷土料理として親しまれ、観光客目当ての「具雑煮」専門店も島原に立ち並んでいます。
「具雑煮」の発祥・由来
「具雑煮」は1637年(寛永14年)に長崎県島原地方で起こった「島原の乱」で総大将の天草四郎が籠城する信徒達に餅と共に山や海の食材を集めて雑煮にして食べさせたのがはじまりといわれています。
「島原の乱」では約3万7千人もの信徒が一揆を起こしたとされており、幕府軍との壮絶な戦をする中で「具雑煮」で栄養をとって戦ったのではないかといわれています。
「島原の乱」は3ヶ月間にも及び、結局鎮圧されました。
その後は「具雑煮」が脚光を浴びる事もありませんでしたが、1813年(文化10年)に料理人の糀屋善右衛門が独自のアレンジをして販売し始めたのが現在の「具雑煮」のもととなりました。
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