宮崎県の郷土料理「チキン南蛮」とは
「チキン南蛮」は鶏のから揚げを唐辛子入りの甘酢のタレの南蛮酢に浸けた鶏料理で、宮崎県の郷土料理です。
チキン南蛮は宮崎県延岡市発祥の料理とされていますが、現在では県全域だけでなく全国にも広まっているお馴染みの料理です。
食堂やレストランだけでなく、惣菜、弁当としても人気があり、コンビニの弁当にも「チキン南蛮」があったりして広く定着しています。
淡白な鶏肉に甘辛の南蛮酢が絡んで絶妙な味わいとなり、老若男女問わず支持されている料理です。
「チキン南蛮」は元々はむね肉を使った料理でしたが、最近では食感の良いもも肉を使ったものも多いです。
「チキン南蛮」の発祥・由来
「チキン南蛮」は宮崎県延岡市で料理店「ロンドン」で働いていた二人の料理人により生まれたといわれています。
一人は食堂「直ちゃん」の創業者である後藤直氏で、もう一人は「おぐらグループ」の創業者の甲斐義光氏です。
二人は市内の洋食店「ロンドン」で働いていたのですが、そこで賄い料理として出されていたのが鶏のむね肉に衣をつけて揚げて甘酢に浸けた鶏料理でした。
単なる賄い料理として店に出る事はない料理でしたが、その後二人が独立してそれぞれの店舗を立ち上げ、その賄い料理に工夫してメニューとして提供するようになったのが「チキン南蛮」のはじまりといわれています。
二つの店舗の「チキン南蛮」にはさまざまな違いがありますが、最大の違いはタルタルソースの有無です。
現在、「チキン南蛮」といえばタルタルソースをつけて食べる事が多いですが、タルタルソースを開発したのは甲斐氏です。
ですから、「おぐらグループ」の洋食店「ロンドン」の「チキン南蛮」にはタルタルソースがついていますが、「直ちゃん」の「チキン南蛮」にはタルタルソースはついていません。
どちらが本当の「チキン南蛮」なのか、どちらが先に開発したのか、どちらが正統派なのかなどといわれる事もありますが、実際には両氏とも同じ洋食店の賄い料理からヒントを得て、それぞれ独自の「チキン南蛮」を開発したといえます。
ですから、タルタルソースの有無は「チキン南蛮」の絶対的条件というわけではなく、それぞれの店で出す料理はまぎれもない「チキン南蛮」なのです。
「チキン南蛮」の意味と南蛮酢
- 「チキン南蛮」の「南蛮」は「南蛮酢」
チキン南蛮はなぜ南蛮と呼ぶのでしょうか。それは南蛮酢に浸した鶏料理だからです。
南蛮酢とはネギ、玉ねぎ、唐辛子が入った甘酢の事で、南蛮酢を使っているのでチキン南蛮と呼ばれます。
一般的にはタルタルソースをつけて食べるものをチキン南蛮と呼ぶことが多いですが、本来は南蛮酢に浸したチキン料理を「チキン南蛮」と呼びます。
まちおこしに「チキン南蛮」
「チキン南蛮」は全国的に知られた料理ですが、宮崎県延岡市が発祥の地である事はあまり知られておりません。
延岡では最近のB級グルメやご当地グルメの高まりとともに、郷土料理である「チキン南蛮」を延岡発祥の名物として売り出しています。
現在、延岡市内では定食屋、レストラン、居酒屋、寿司店など約80店舗にて「チキン南蛮」を提供しています。
市民まちおこしグループの「NAN BAN TRY」(延岡発祥チキン南蛮党)では市内の「チキン南蛮」を提供する店を掲載した「チキン南蛮マップ」を作成したり、B-1グランプリに参加するなど「チキン南蛮」のPR活動に奮闘しています。
また、延岡市の公式キャラクターには「チキン南蛮」の美味しさをアピールする「チキなん番長」が選出されました。
さらに、7月8日を「南蛮の日」と定めて平成21年7月8日には延岡市が「チキン南蛮発祥のまち」を宣言しています。
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