静岡県富士宮市の郷土料理
「富士宮やきそば」は富士宮市の製麺業者から仕入れた専用の蒸し麺を肉かす、キャベツなどの野菜と共に鉄板で炒めたやきそばで、静岡県富士宮市の郷土料理です。
富士山の麓の富士山本宮浅間大社の門前町として栄えた富士宮市の郷土料理として戦後に普及してきましたが、近年のブームで郷土料理としてだけでなく「B級グルメ」や「ご当地グルメ」として紹介される事も多いです。
富士宮焼きそばの特徴
富士宮焼きそばは他地域のやきそばと比較すると富士宮地域独特の麺が最大の特徴で、麺は一般的な茹で麺ではなく水分をとばして表面を油でコーティングした蒸し麺です。
富士宮市内の製麺業者で製造される蒸し麺は水分が少なく、触ってみると弾力があってまるで輪ゴムのような状態です。
この見た目も触った感じも明らかに固い麺が焼いている間に水をさすことによって、もちもちして歯ごたえがあってコシがある絶妙な食感の焼きそば麺になるのです。
一般的な茹で麺とは焼き方が異なるので独特の焼き方がありますが、慣れればそれほど難しくはありません。
富士宮市内には「富士宮やきそば」を提供する店は150軒以上あるといわれており、専門店だけでなく駄菓子屋、定食屋、中華料理屋、居酒屋、料亭、旅館など業態は様々で市民に定着した日常の食べ物となっています。
「富士宮やきそば」の発祥・由来
「富士宮やきそば」は戦後の静岡県富士宮市の市街地の数あるお好み焼き屋から誕生しました。
戦後の経済復興の中で富士宮市街地には製糸工場が操業し、数多くの女性の工員達が働いていました。
そんな工員達の日常の食事場所として値段も手頃なお好み焼き屋が利用されていました。
お好み焼き屋ではお好み焼きはもちろん焼きそばが食されていました。
富士宮では駄菓子屋でも鉄板が置いてあり、子供達が小遣いを握り締めてお好み焼きや焼きそばをおやつ代わりに食べていました。
戦後は富士宮の住民だけでなく山梨からも富士宮に電車で働きに来たり買い物に訪れていました。
そんな中で焼きそばの麺を持ち帰りたいとの要望があり、現在のような水分をとばした長持ちする焼きそば麺が作られたと考えられています。
蒸し麺は茹で麺とは異なり水分を飛ばしているので傷みにくく、遠方へ持ち帰っても大丈夫というわけです。
現在は技術の発達により茹で麺だからといって長持ちしないというわけではありませんが、当時は蒸して強制的に冷やして油でコーティングする事で長持ちする様になり、水分を飛ばしたコシのあるゴムの様な麺が生まれたのです。
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